HOME
> Every Day Life > Diary > 2009.7.

日記
(2009年7月)
2009/7/24 (Fri.)
あまり出来ない体験

乗客の誰もいない車内

雨のJR車庫

今日、普通の人があまり出来ない体験をしたので書きとめておく。
僕はよく栃木県の小金井に出張に行くのだが、その帰り。夜8時前の小金井駅にタクシーで乗りつけ、僕は階段を走って駆け上がった。宇都宮行きの電車の発車時刻が間近に迫っていたからだ。改札を抜け、走ってホームに駆け下りると、電車はまだ停車していた。
「やれやれ、間に合った。」
時刻は既に発車時刻を指している。僕はまだ開いている扉から電車に駆け込んだ。車内は空いていたので、椅子に腰を下ろした。そして宇都宮までの20分間を有意義に過ごすべく、カバンから文庫本を取り出し、読み始めた。
しばらくして、僕はまだ電車が発車しないことに気づいた。
「あれ?」
続いて、車内に乗客が誰もいないことに気づく。
「あれあれ??」

僕は立ち上がる。ホームを見ると、人々は電車に乗らずに開いている扉の前で待っている。そして、一人電車の中にいる僕を見ている。おばさんグループは、笑いながら、指を差さんばかりに僕の方を見てなにやら話している。
「なんだよ、これ回送かよ。」
僕は照れ笑いを浮かべながら、開いている扉から電車を降りようとした。すると、降りる直前、ガタガタっと扉が閉まってしまったではないか。
「おいおい、頼むよ。」
僕は扉の脇にある開閉ボタン(この電車は、扉を手動で開閉するボタンがついている)を押すが、扉は開かない。
仕方なく、一人取り残された車内を移動して、窓からホームにいる駅員を探す。ホームの乗客の一人が、閉まってしまった扉を開けようと電車の外側のボタンを押してくれるが、扉は開かない。

しばらくして、ホーム上にいた二人の駅員が車内にいる僕を見つけ、僕に「待ってろ」という合図をしてから、電車の車掌室のある後方に走っていった。僕はやれやれと肩をなでおろす。きっと彼らは、扉を開けるように車掌か運転士に言ってくれるのだろう。

ところが。
扉が開くのをしばらく待っていたら、電車が動き始めたのである。
「おいおい。」
駅員からの伝達はどうした?
電車は停まる気配がない。きっと、次の電車が来るので、車庫に引き上げなくてはならないのだろう。ただ、一瞬扉を開けてくれればいいのに。
電車はそのまま走り続けた。車内の乗客は僕一人。15両編成の宇都宮線。明々と電気をつけた無人の電車が、幽霊列車のように雨の中を走り続ける。
時々徐行しながら、5分くらいして電車は車庫に入ったらしい。雨でもやっている窓の外を見ると、線路脇に建物が見える。その前で電車は停止した。
しばらくじっとしていると、僕しかいない車内にアナウンスが響き渡る。
「車内にご乗車のお客様、南のほうへ向かって歩いてきてください」
南の方?ここはどこなのか分からなかったが、電車は小金井から宇都宮方面へ向けて走っていたはずなので、南とは今来た方向だろう。
僕は意を決して無人の車内を歩き出す。途中、グリーン車に入ると、グリーン車清掃の人たちがすでに清掃を始めていた。無人列車だったので、車内に人がいることに妙にホッとする。対照的に彼らは、僕を見て一様にギョッとする。
「何で回送電車に客がいるんだ?」という驚きの反応だ。
「南ってあっちですか?」
「あぁ、そうです」
グリーン車2両目で、僕は清掃員の一人に呼び止められた。隣の建物からやって来たのだろう、JR車庫の職員が雨合羽を着て僕を連れに来た。彼はひとしきり説明した。
「ここは、小金井駅と自治医大駅の中間にあるJR車庫です。」
「すみません、ちょうど時間だったものだから、まさか回送だとは思わないで乗っちゃいました。」
「どこに行くんですか」
「郡山です」
「申し訳ないんですが、ここで降りて、小金井か自治医大まで歩きかタクシーで行ってもらうしかないです。」
「そ、そうですか・・・。」
僕は若干納得がいかなかった。確かに回送に乗ってしまったのはこっちのミスだが、回送に乗れるようになっていたことがおかしいではないか。が、今さらゴネても仕方ないと思い直す。

ホームはないから、電車の側面についている簡易のはしごを使って線路に下りる。雨が弱く降っている。二人のJR職員のうちの一人が、僕に傘を貸してくれる。線路の横にある、整備職員の事務所などがあるのであろう建物に、もう一人おやじが待っていた。いきなりタメ口で高圧的な態度だったので、僕も自然とタメ口となる。
「どこに帰る?」
「小金井と自治医大どっちが近いですか?」
「どっちも同じくらいだな。15分くらいだよ。」
「道が分かりやすいのはどっち?」
「小金井の方だ。」
「小金井からの次の宇都宮線は何時?」
若い職員が建物の中に入って時刻表を探したようだが、見つからなかったらしい。
「8時30分過ぎにはあると思いますけど・・・。」
JRの整備車庫に時刻表がないとはどういうことだよ?と内心突っ込みを入れながら、僕は言った。
「じゃぁ、小金井に帰ります。」

始めに電車に上がってきた若い職員が僕に小金井までの道を教えてくれた。しかも、さっき借りた傘を返そうとすると、いいです、持っていって下さい、途中で雨が降ると大変ですから、と言って僕に傘をくれた。
「ありがとうございます。」

普段誰も行くことの出来ない場所に行った僕は、こうしてビニール傘を土産として持ち帰った。

小金井までの道は、分かりやすかったが、途中で、弱くなっていた雨が土砂降りになった。傘がなかったらと思うとゾッとするような降りだ。傘があってもジーンズのすそは丸濡れとなった。気持ち悪い。改めて若い職員の親切に感謝する。

雨の中ようやく小金井駅に到着。駅にいる誰も知らない、小1時間のJR車庫への旅を終え、僕は今度は普通の電車に乗って、郡山へ帰った。
みなさんは、回送電車に乗って、車庫に行ったことがありますか?
2009/7/11 (Sat.)
福島競馬場(福島県福島市)

山に囲まれた福島競馬場

メインスタンド

パドック

土曜の朝。爽やかな晴れ間、郡山から福島に向かって車を走らせる。朝9時過ぎの国道4号線は、空いている。真夏の日差しにはまだなっていない。
1時間ほどで福島に到着。4号沿いにある福島競馬場の前を通り過ぎ、飯坂インター近くの平野駐車場で車を乗り捨てる。ここは、福島競馬場に車で来るギャンブラーたちのための無料駐車場で、ここから競馬場までは無料送迎バスが出ているのだ。

福島競馬場は清潔感にあふれている。今はどこの競馬場も改装されたのだろう、府中も中山も、暗くて汚い、賭博師達の巣窟とはかけ離れたイメージである。ちょっとしたテーマパークとなんら遜色はない。整然とした自動券売機、払い戻し機、床には外れ馬券一枚落ちていない。フードコートは、ファーストフードから普通のレストランまでより取り見取り。

パドックも、さんさんと採光された吹き抜けのような空間であり、気持ちいい。
そして本馬場。メインスタンド側から向こう場面を見ると、バックに低い山々が連なっている。この競馬場は、屋外の観覧席が少ない。ホームストレッチの前には、ガラス張りのメインスタンドがあり、観客の多くは、屋内からガラス越しにレースを眺める。確かに2階以上の高さからは、目の前を通る馬たちの様子がよく分かる。このメインスタンド内の客席はほぼ満席。土曜で重賞もないので観客は全体的に少ないが、メインスタンド内の自由席の客席だけは人が集中している。明日はGV七夕賞には、今日とは比べ物にならない人が押し寄せるのだろう。

館内に、骨髄バンクのために募金活動をしている一団がいる。1円でも儲けようと鳥のようにギラギラと血走った目をした賭博師たちの集まる競馬場で募金してもらおうとは、とんでもないことを考えたものだ。なけなしの金をはたいてギャンブルをしに来ている、私欲に凝り固まった人間が、世のため人のため、困っている人たちのために急に豹変して、一日一善とばかりに馬券を買う金を差し出すのだろうかと僕は興味深く募金活動をうかがった。僕の予想に反して、箱に金を投入する人が結構いる。大勝ちしたので急に気前が良くなっているのだろうか。それともここに来ても極めて冷静な模範的社会人判断ができているのだろうか。

僕はといえば、もちろん募金せずに、その後もパドックで馬を見、馬券を買い、本馬場でレースを見、一喜一憂し、再びパドックに戻り馬券を買うことを繰り返した。僕はメインスタンド内ではなく、風と光を感じることの出来る外でレースを見る。
競馬場での競馬は、結構運動になる。ほとんど常時動いているからである。パドック⇒券売機⇒本馬場を繰り返すのだ。およそ30分に1本レースがあるので、休む暇もない。

昼飯は定番の勝つカレー。

福島競馬場の風景

午後4時30分に発走した最終12レースが終了。この日はわずかながらもプラス収支で終え、ガソリン代くらいはチャラになったようだ。
競馬は負けなければいい。まずまず充足した気分で、競馬場の周りで写真を撮り、無料バスで駐車場まで戻る。

最近はネットで馬券を買えてしまうのだが、ネット上でバーチャル取引で金を動かしていると、いくらでも使ってしまう。金を使っている感覚がないのだ。これは恐ろしい。一方、競馬場とかウィンズでは、実際に現金購入なので、無謀無茶な買い方は出来ない。リアルな金を自分の手が握り締めている。これが目の前から一瞬のうちに消えてなくなれば、慎重に打つしかなくなる。ネットだとこの感覚が完全に欠落してしまう。
僕は常日頃今まで、株で金を儲けようとする人間を、あさましき金の亡者として蔑視してきたが、これじゃあ自分も同じじゃないか!!?
ネットでの馬券購入は、文字通りで当たり前なのだが、バーチャル世界のリアリティのなさと、自分の愚かさとを、いやというほど思い知らされる。だが、一度ここに足を踏み入れ、はまっていかなければ、何も語れないのだ。『スピード』!違うか。

次は新潟競馬場。郡山からなら車で2時間だ。
HOME > Every Day Life > Diary > 2009.7.