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Los Ecuatorianos(6)
エクアドル人観察
(2005年1月)
本能とともに生きる、エクアドル人(♂)
俺はクエンカ市内を走る路線バスに乗っている。ぼんやりと窓の外を眺めている。と、車道脇の歩道に、若くてかわいくてスタイル抜群の女の子が歩いている・・・。
さて、バス車内の男どもは、全員が全員、マーチングバンドか、それとも軍隊の整列かってくらいに、窓の外の彼女を見て同じ動きをする。すなわち、バスの動きとともに車窓を後ろへ去っていく彼女を、男全員が視線で追い、後ろに去っていくのを顔を振り向けて見えなくなるまで見続けるのである。若者でもいい年こいたオヤジでも同じ。
そう、異性に対する動物的本能の自然な表現。これは、オス犬が遠くにメス犬を見つけた時の状況とほとんど同じである。オス犬は、もう頭の中真っ白になってメス犬を凝視し続ける。エクアドル男どもも、バスの車窓からいいオンナを見つけたら、いや、いいオンナかは分からなくとも若いオンナを見つけたら、もう視線は釘付け、彼女をずっと目で追うのである。男が窓際にズラっと座っていたら、この「本能的異性観察」は誠に壮観である。すべての男が、彼女の姿が後ろに流れていくのと同期して頭を後ろに振り向けつつ彼女の姿を追うのである。北朝鮮のマスゲームかと思わせるほどの彼らのシンクロした動きを見ていると、おかしくて笑い出しそうになる。彼らが、メス犬を見て尻尾を振って興奮してチンチンしているオス犬に見えてくる。
街でも、若い男が若い女とすれ違うときなんか、よくこういう光景を目にする。男が振り返ってすれ違った「いいオンナ」の姿を追っている。
「おぉ、エエオンナやったな〜、へへへ。」
てなもんである。時には、タクシーの運ちゃんも恥ずかしげもなくこの性癖を発揮する。道に「イイ女」を見つけると、運転中なのにずっと目で追い、首で追う。
(おいおい、ちゃんと前見て運転してよ!)
と言いたくなるのを我慢して、彼の束の間の楽しみをハラハラしながら見守る。
そう、男の本能が自由に出せる国、それがエクアドルである。(いや、「本能が自由に出せる」って、自由にレイプできるって意味じゃないですよ、決して・・・。)
もちろんこれは批判的意味をこめて言っているのではない。日本が文明進化による都市化によって失くしてしまった一面なのであるから。東京のように人がたくさんいて常に公共の場で各人が衆人の監視下にさらされている所では、恥ずかしい行動はできない。というかそういう心理状態にさせられる。いい女の姿を頭ごと目で追っていようものなら、隣にいて自分を監視している大勢の他人の頭の中でいい笑いモノとなるのである。よってもって人は自分の感情を押し殺して他人に自分の内面を悟られないようにするため、意識的に本能を理性で抑えつけることになる。
このような自分自身による心理的抑圧状態が、街における都市部の人間の一般的状態であろう。近くにあまりにも大勢の人間がいるため、その「対人」を考えすぎて「理性」が必要以上に自分の行動を規制している状態。このような人間として本来的でない抑圧状態が続くと、精神的バランスが崩れていくことも容易に想像できる。最近の都市部の人間の異常犯罪・凶悪犯罪は、このような抑圧された人々の心理状態と無関係ではない、と思える。
そう考えると、自由に本能をさらけ出しても誰も何も思わないエクアドル社会は、文明都市の弊害にまだ汚染されていない、途上国だからこその良き一面を現しているといえよう。もっとも、この話は男に限っての話で、男性優位主義がまだまだ残る社会だけに、女性がどう思っているのかは不明なのであるが。実のところ、女性が抑圧されているのかもしれないのである。
そう言えば、これほど本能むき出しなのに、「街でナンパ」っていうのはあまり見かけない。むき出しのクセに結構こっちの若者(♂)ってシャイなんだよね。例えばイタリア人なんかに代表されるラテン系の「対女」の軽いノリが皆無である。他の中南米諸国に行った同期隊員からも聞かれる話だが、「ラテン系」と聞いて想像していた人々の「超陽気さ」は、こっちに来てみると期待はずれなほどにほとんど感じられない。人々は、日本人と同じようにシャイである(これは、エクアドル国内でもシエラ(中部山岳地帯)とコスタ(太平洋岸低地)では違うのかもしれない。コスタの人間は、その気候のせいなのか、基本的に奔放で開けっ広げで陽気であるそうだ)。「本能むき出し」なんだけど「シャイ」。ここらが分からないところだ。
結局、この「人間性」って問題は、民族性と歴史に収斂していくしかないのか。
2005/9/19追記
今日夜の講義が終わったあと10時過ぎ、セントロを参加者のオヤジ達と歩いていると、前から見るからにイカした女の子が歩いてきた。僕くらいあろうかという長身に、スーツとミニスカートをビシッと着こなした、誰がどう見てもいわゆる”美人”である。僕の周りを歩いているオヤジどもはもう浮き足立つどころか、彼女に聞えるように口々に感嘆の言葉を吐く。
「チェベレ」(スゲー)
そして彼女が通りぎるのを、例によって全員が振り返って後姿を追う。トホホ・・・。君達、いい歳こいてさ、少しは理性ってもんがないのかね?
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