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最近の社会について考える(2)
2001年8月                              


最近、若者の凶悪な犯罪が多くなってきている。その原因を考える上で、最近の若者の生活環境の変化を考えることが重要だ。もちろんこれは、若者の生活スタイルだけが変わったわけではなく、社会全体が様々な意味で大きく変化してきているため、それにリンクして若者のものの考え方が変わってきている、と考えるのが自然である。
若者の生活環境の変化という点で、最近の最も劇的な変化というのは、携帯電話の普及および高性能ゲーム機の普及である、と私は考えている。以下この2点と若者の変化との相関について述べてみる。
(最近の社会について考える(1)の続き)

(2)高性能ゲーム機の普及による弊害

私が高校生の頃にも、ゲームはあった。いわゆるファミコンである。しかし、最近のゲーム機の普及率は昔とは比べ物にならないほど高い。「1家に1台」状態である。この爆発的な普及率増加に伴い、外で遊ばずに家の中でゲームばかりしている子供の割合が増えてきている。

プレイステーション等最近の高性能ゲーム機では、非常にリアルな感覚でゲームが楽しめる。さらに、ソフトの多様さも昔の比ではなく、あらゆる事がゲームとなっている、といっても過言ではない。
ハードの高性能化により、普通では体験できないことが、非常にリアルな感覚でゲームの中で体験できるようになった。飛行機を操縦したり、電車を運転したり、人を殺したり・・・。ゲームの中のバーチャルな空間と、実際のリアルな空間(現実社会)との区別があいまいになることは、非常に危険なことである。ゲームの中で簡単に人を殺せたり痛めつけたりできる、ということが、現実の世界ではそうでないことを認識していなければならない。ましてや、今最も人気のあるゲームソフトといえば、「ストリートファイター」や「鉄拳」等の、人が人を殴ったり蹴ったりする暴力ゲームである。ゲームセンターでもこういったゲームが大流行している。もちろん、ほとんどの子供たちは「これはゲームの中だけの出来事」と考えているはずだが、これを毎日やってたら、人間変わってもおかしくない。これが健全な人間が毎日毎日やることとは思えない、というと「頭が堅いよ」と言われるかもしれないが、それは私の偽らざる気持ちである。

また、ゲームをする時間が長くなるということは、自分の部屋にいる時間が長くなる、ということであり、外で他人や自然との接触が少なくなる、ということである。例えば、外では、友達と遊んでいる最中に転んで擦り傷を作る、なんてことはよくあることである。その時に感じる痛みは、貴重な体験である。また、外に出れば他人がいる。他人との関わりの中で子供が学ぶことは多い。そういう実体験が多ければ多いほど、人間として色々なことを多角的に考えられるようになる。

一方、家でゲームばかりして大人になる子供たちには、そういう貴重な実体験が欠如している。また、ゲームの中のバーチャルな世界では通用することが、現実の世界では通用しないことが多い。となると、それらの子供は、現実の世界をよく知らないまま大人になる。そうすると、「(1)携帯電話の普及による弊害」の項でも指摘したように、公共の場での振る舞い方が分からなかったり、挙げ句の果てには、人の感じる痛みが分からずに、簡単に人を傷つけられるようになる、ということも考えられる。
極端な言い方をすれば、高性能ゲーム機の普及は、子供たちから野外(社会)での貴重な実体験を奪っている、ということになる。これでは、色んな意味での「平衡感覚」が欠落した人間が出来上がってしまっても不思議ではない。

エンタテインメントとしてのゲームを否定するものではないが、人格形成にとって最も重要な少年期に、子供がゲームばかりやることが、社会に少しでも好影響を及ぼすとは思えない。むしろ、ゲーム業界の隆盛が、世界の将来を危うくしているとさえ思える。


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