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校庭立ち入り禁止
2003年7月
先日、大阪の小学校に男が乱入して、多くの児童が殺傷された事件の公判があった。あの事件は2年位前だったか。
さらに最近、子供・幼児が犠牲となる殺傷事件が頻発している。通学中に男に背中に火をつけられた小学生。長崎では中学1年生が4歳の幼児を8階から突き落として殺す。
こないだ、実家近くの、俺がガキの頃通ってた小学校を夜通りかかった。すると、校門は閉め切られ、そこには次のような掲示がされていた。
「校庭に無断で入ることを禁止します」
「プールに侵入した人を見かけたときは、すぐに110番してください」
その掲示を見て愕然としたね。「こんなぎすぎすしたせちがらい世の中になってしまったのか」って本当に寂しくなるよ。これじゃ「街歩いてる奴ら全員不審者と思え」って感じだよ。
俺達は、高校時代、夏になると小学校のプールに夜忍び込んで泳いだ。熱帯夜にプール。気持ちいい。時には見回りの自治会のおばちゃんが懐中電灯片手に来ることもあった。(きっと、近所の誰かが「プールで勝手に泳いでいる奴らがいる」とでも通報したんだろう。)そんな時は、プールの壁にへばりついて息を殺してやり過ごしたものである。(何しろ、ジャック・マイヨールじゃあるまいし、水に潜ったままで何分も隠れるわけにはいかないからね。)おばちゃんは、柵の外から暗いプールに懐中電灯を照らし、「誰かいるの?」と何度も呼びかけてくるのだが、僕らはじっと息を潜めてやり過ごす。もちろんこれは悪いことなんだけれども、別に騒いで誰にも迷惑かけてるわけじゃないしさ。ガキの頃なら誰にだってあるでしょ、こういう遊び心が。
大学時代は、実家に戻るとよく小学校の校庭で、小学生や中学生とサッカーをやったもんだ。その時分は、「小学校の校庭」は開放されていて、誰でも入れる場所だった。放課後や休日には、犬の散歩の人や、凧揚げとかして子供と遊びに来ている親子連れの姿があり、住民の憩いの場になってた。
俺と友人達は、サッカーをしている子供達を見つけては、一緒に混ざってサッカーをやった。子供達は、始めは変な大人が乱入してきてビビっているが、すぐにサッカーに夢中になる。子供達は俺達一人一人にあだ名をつけ、球が行くたびにそのあだ名を呼ぶ。ある時はデブの友人が、『(肉の)ハナマサ』というあだ名をつけられ、俺達の方が爆笑したものだ。「サッカーは世界の言葉」、年の差なんて関係なく、ボール一つで異文化(異世代)コミュニケーションが始められるのだ。
子供が見知らぬ大人と交流することにより、限られた世界で隔離されて育つ子供よりも、より社会性を身につけられると俺は信じている。世の中、何事よりも「経験」が重要なのだ。ちょっと大げさに過ぎるなら、サッカーに関してだけでもいい。彼らは、俺達のような大人と対戦することにより、自分達の力量を知ることができる。これは、彼らの今後のサッカー人生で絶対にプラスだ。同級生には負けない、という闘争心も生まれる。
だが、そんなことも今はできない。「プールに侵入」は100歩譲ってダメだとしても、サッカーは?今や、小学校の校庭でサッカーをしただけで、「不法侵入者」としてヘタすると警察に通報されてしまうのだ!そんな馬鹿な話があるか?あんなにサッカーをするのに最適な場所を、指をくわえて見てろって言うのかよ?全く何と言う世の中だろう。
俺達みたいなノーマルで真っ当な大人との遭遇は、子供にとっても大歓迎だ(と思う)。要は最近、俺達みたいなノーマルな大人ばかりでなく、イカれたサイコ野郎が街に増殖しつつあるのが問題なわけだ。これじゃ親も子供もうかうかしてられない。しかもそれが、大人と限らず中学1年生だったりするから大変だ。まるでアメリカじゃんか。日本人は銃を持ってないからまだ助かるが・・・。
それにしても四六時中子供を監視してなきゃならないなんて、子供も親も不幸だ。そんな過保護でどうする。
昔は、近所付き合いが盛んだった。今でも田舎はそうだろう。みんな四六時中家の鍵を開けっ放しにしているような付き合いだ。自分の子供を、自分が見てなくても、近所の人間が見ていてくれた。そうやってお互いがお互いのことを注意していた。そんな古き良き伝統がなくなりつつある。
街はどこも都会化され、都会ではもはや誰もが周囲に無関心だ。最近のニュースを見ていると、「他人と関わり合いにならないこと」が平穏無事に生きる必要条件であるかのようだ。とにかく街では、知らない人と関わるな。そんな世の中だ。何しろ、道で大の字で寝ていた若者を、「そりゃいくらなんでもやり過ぎでしょ」ってんでちょっと注意しただけで、彼らに逆ギレされて車で追いかけられて、あげくの果てにはボコボコにリンチされて殺されてしまう、そんな世の中だ。
何だってこんなに世の中にはアブナイ奴らが多くなっちまったんだ?社会全体が不況のせい?教育が悪い?
そうさ、不況さ。みんな給料が下がって金がない、となると遊べない、だけどリストラのおかげで仕事は多い、サービス残業、でもってストレスが溜まる、時間も金もないからストレスを発散することもできない。でついに精神的バランスが崩れる・・・。
職があるならまだいい、リストラでもされて失業してみろ、この高失業率の時代に職なんて見つからない、金がないから消費者金融に走る、借金が膨らんで首が回らなくなる、で犯罪に走る。不況下の閉塞感でみんな頭がおかしくなりかけてんのか?(話は違うが、自殺者も急増しているそうだ。昨年は1年間に32,143人、1時間に3.7人が自殺しているそうである。)
不況下の社会では犯罪が多くなるのは自明の理だが、しかしそれにしても最近残虐な殺人事件が多い。子供が犠牲になる犯罪も多い。逆ギレして人を殺す奴も多い。
凶悪事件は年々増えてないか?それとも、最近はどのTV局も「報道番組」の時間が長くなって、そういうショッキングなニュースを好んで放送するからそうみえるだけで、実際にはそんなに増えてないのか?いや、そうじゃないだろう。昔は逆ギレで人を殺すなんてなかった。一体どうしたことだ?他人に対する礼儀、自分の過失に対する素直な反省はどこに行った?何でそんな簡単にキレる?日本人の美徳、「我慢と忍耐」はどこへ行っちまったんだ?
社会が悪い?そいつを取り巻く環境が悪い?教育が悪いのか?
長崎で起きた、4歳児殺害事件では、中学1年生の犯人を捕まえる決め手が、商店街の監視カメラだったという。街にこうもアブナイ奴が多いと、将来、どんな小さな小道にも監視カメラが設置され、すべての人間の行動を監視しなければならないような世の中になっちまうぞ?映画「エネミー・オブ・アメリカ」みたいに、人工衛星から国民の行動が政府に逐一監視されるような。
一体どうすりゃいいんだ、日本は?
何とかしてくれ〜、小泉総理!
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