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ミャンマー日記(2015年1月)
2015/1/24 (Sat.)
久々の登山 晴れ@パアン
 
チャイン山を真横から見た図。ここから山裾に取り付き、横から急襲する
 
巨大なバナナの木の間を抜ける
 
道のない急斜面を登る
 
急斜面の藪漕ぎ
 
僕を導いてくれた親切な山男。ミャンマーの中村教授。
 
チャイン山展望台から、パアン市街方向を見下ろす
 
山頂のパゴダ
 
山頂から周りの山々を見渡す

ここ数か月間、土日と言えば何もする気が起きなく、一日中ほとんど寝て過ごしていたが、最近は涼しくて体調はそれほど悪くないので、極度の運動不足でもあり、朝10時に、山登りに出かけた。天気は上々だ。まだ朝方は涼しい。
登るのは、いつも僕が自分の部屋から眺めている、チャイン山である。頂上にはパゴダが見える。夜になるとこのパゴダはライトアップされ、赤や黄色の電飾が豪勢にきらめいている。このパゴダは、ここ下界が停電であろうと、ライトアップが止まった日はない。山の上のことでもあるし、普通の送電線が行ってるとも思えないので、発電機を回しているのだろうと推測される。
さて、スタッフハウスを出た僕は、山を左手に見ながら山と並行に道を歩く。稜線は、ヨットの帆を寝かせたような三角形をしている。左からなだらかな斜線を描いて稜線は空に伸び、三角形の頂点にパゴダが見える。頂点から右側は、割と急に斜面が切れ落ちている。左手に見えるなだらかな稜線を登るのではなく、山の側面の急斜面を急襲しようというのが今日の僕の計画である。
左手に山を見ながら道を進み、細い道を左手に入り、山裾に近づく。山に取り着くまでが結構遠い。けもの道のようにつけられた薄い道を歩く。しばらくは平坦で木々もあまりない、時々広い砂地に出くわすような場所を歩いていたが、やがて山裾にたどり着き、山の木々の中に突入する。ここから登りが始まる。
斜面にバナナ畑が作られている。3m位のバナナの木々が、その巨大な葉を四方に広げ、一杯の陽光を受け、グリーンモンスターのように僕を取り囲む。人影はない。ただ太陽が緑の葉を鮮やかに光らせている。影は濃い。
緑の巨人の群れを抜けると、見晴らしのいい場所に到達し、煙草を一服。下界を眺めると、今歩いてきた道、スタッフハウス、果てはタンルイン川の雄大な流れまで、一望のもとに見下ろせる。とてもよい。
倒木にキノコが生えている。このような光景は房総と変わらないが、ここには沢がない。ただ隆起した土の斜面があるのみ。

さらにしばらく上がると、いよいよその先は、急斜面が立ち塞がる。バナナ畑までは道がついていたが、その先、この山の斜面には道らしき道がない。ここから尾根を見上げるが、どこが尾根だか分からないほど遠い。僕は意を決して斜面を登り始める。こりゃ本格的な急斜面直登になりそうだ。すぐに息が上がる。思えば全然運動していない。体が完全になまり切っている。しかも斜面は表面の土がずるずる滑り、気を許すと足を取られて滑り落ちてしまう。休み休み、この急斜面を料理していくが、相当にキツい。息をゼーゼーいわせながら登る。数分ごとに休憩。斜面はさらに急になる。すると、斜面の上の方で、人の気配がする。
彼は青いシャツを着、長い木の棒のようなものを持って、木々の間で何かの仕事をしていた。斜面をスルスルと移動し、山猿のようである。僕は少し登ったり横に移動したりするのに、地面の土をズルズルと下に落としながら、ほとんど滑りながら、這うようにしか動けないのと対照的である。
目の上には木と藪が迫り、どっちに行ったらいいか分からなくなる。僕はこの男性に声をかけた。
「ミンガラバー」(こんにちは)
「ミンガラバー」という声が返ってくる。
「この上に道はありますか?」
「あるよ」
僕はその言葉を聞いて元気づいてさらに斜面と悪戦苦闘を続けるが、藪に阻まれ、どうもルートが見えない。すると見かねた男性が、「俺についてこい」と、僕を先導して斜面を登り始めた。彼は軽やかに何事もないようにズルズルの急斜面を登っていく。僕は足を滑らせながら(革靴できてしまったのも敗因だ)、懸命に彼についていくが、息が上がってしまって時々ゼーゼーと立ち止まる。彼は親切にも上の斜面で僕を待っていてくれる。そうこうして10分ほど登ると、ついに稜線の立派な登山道に突き当たった。
肩で息をする僕を見て、男性はニコニコしている。道沿いには建物があり、彼はそこの若い男に声をかけ、談笑する。仕事中だったのにわざわざここまで僕を導いてくれた彼に、厚く礼を言う。彼の風貌は、元東亜化学の中村教授に似ている。彼は笑顔で斜面を降りて行った。

僕は一服し、この建物の若者とひとしきり話す。建物は、小さな僧院のようで、中は板敷の広間で一方に祭壇がある。僕はここで横になってしばらく休憩する。
「パゴダまではどれくらい?」
「あと5分くらいだ」
パゴダに向かって舗装された緩やかな坂道を登る。しばらく歩くと僧の大きな全身写真の看板が現れ、道は階段となる。階段を上がっていくと、途中展望所があり、ここからパアン市街やその近郊の山や川が一望のもとに見下ろせる。素晴らしい。
パアンの街には緑が多いことが一目でわかる。タンルイン川、カンタヤー湖、雨季には水没する湿地帯、そして滑走路までよく見える。あまり標高が高くないから、ちょうどいい大きさで手に取るように下界が見渡せる。

そしてさらに上がるとついに頂上のパゴダに到達。遮るもののない陽光に、金色の仏塔がまぶしく反射して光っている。
パゴダの裏には、(おそらく)僧院があり、おじさんが一人いた。彼以外に山頂に人影はない。
僧院の奥には、太陽光パネルが設置してあった。ミャンマーの山頂に似つかわしくない光景だと思ったが、おそらく夜のライトアップは、このソーラーパネルで作った電気を充電して使っているものと推測される。
この山の裏にあるズウェガビン山や、その奥に連なる石灰岩の切り立った岩山が同じ目線で眺望される。時々地面から突如隆起したような地形である。地面がうねっているのではなく、ボコッとした岩が地面に置かれたようだ。

容赦ない日光を浴びて30分ほど山頂に滞在する。午後1時半、下山を開始すると、下から階段を登って来る子供たちとすれ違った。5,6人の子供たちは、裸足で階段を駆け上がっていく。さすが若い。階段の下に着くと、子供たちの脱いだサンダルが目に入った。ありゃ、ここはパゴダだから靴は脱がにゃならんかったのかもしれない。だけど、僧院にいたおじさんは僕を咎めなかったな。

帰りはなだらかな稜線につけられた半舗装された登山道を下る。この登山道は、ダウンタウンの南側、グリーンヒルホテルの近くから始まっている。そこまで降りるのにはわずか35分ほど。だがダウンタウンに出たので、これからスタッフハウスまで長い道のりを歩いて帰らねばならない。
熱反射するアスファルトの上を、1時間かけてスタッフハウスまで歩く。気温は30℃くらいか。この1時間、ツラかった。足裏が攣っている。今日は始めの急斜面直登で、完全に足を使い切ってしまった。久々の運動なのに超ハード。だけど思えば、いつも僕はこんな調子である。

午後3時過ぎ、フラフラになりながらスタッフハウスにたどり着いた。

チャイン山 写真集

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