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6月の雨                                            
2003年6月

雨が降っているのを見ていると、なぜか気持ちが暖かくなる。
灰色によどんだ空から、静かに優しい滴が落ちてくる。
アスファルトや隣の家の生垣から立ち昇る、雨の匂い。
時折り大きく、時折り小さく、時折り速く、時折りゆっくりと、周囲を叩く雨音のリズムが、頭の中に反響していく。
休日の朝、昼間、夕方、夜、ひっそりとした意志を持って降り続く雨は、僕に安らぎを与えてくれる。
明るい白の中、暗い灰色の中、空から地上への飽きることない繰り返し。
アパートの窓から、雨に潤んだ下町の風景をぼんやりと眺める。
道のアスファルト、電信柱、近くの家の瓦屋根、店の軒、コインランドリーの看板、道端の石ころ。
すべての無機質が、突然命を吹き込まれたように雨のしずくに包まれて輝き始める。

6月、ある明るく暖かい日。
雨が降っているとは思えないほど明るい。白い雲に覆われた空が輝いているように見える。
僕は、彼女が美容室で髪を整えてもらっている間、彼女の出身大学のキャンパスを散歩していた。
明るい雨が降りしきる中、休日のキャンパスには誰もいない。
静寂に佇むあふれる緑が露に濡れてしっとりと光っている。
傘の下の僕は、明るい雨がキャンパスの建物と緑を輝かせる様子を眺めながら、彼女がここで過ごした、僕の知らない学生時代に思いをめぐらせる・・・。

少し切なく、少し暖かい。


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