HOME > Every Day Life > Column
チップ
2002年2月


アメリカは、チップの社会だ。何かサービスを受けたら、サービスしてくれた人に対して、チップを払う。レストランのウェイター・ウェイトレスやホテルのポーターは、このチップが収入を左右するので、より多くのチップをもらえるよう、一生懸命客に対してサービスすることになる。日本ではこういった習慣がないので、サービスに対する考え方が日本人とアメリカ人とで全く違う。アメリカ人は、レストランやホテルなどでは、常に「自分はサービスを受けている」という感覚でおり、その質をシビアに見ている。この感覚が日本人にはない。(日本人の場合、サービスをする方も、見返り(チップ)がないので、一生懸命にサービスしようという度合いは、アメリカ人よりは低いと思う)

旅行で日本人の団体観光客の多い飛行機に乗ると、いつもこんな光景を目の当たりにする。日本人のオヤジが、スチュワーデスに対し、さんざん酒を注文するのだが、飲み物を持ってきてくれたスチュワーデスに対して、「ありがとう」の一言が全くないのだ。これは、日本人なら普通のことなのかもしれない。レストラン等で料理を運んできたウェイターやウェイトレスに対し、「ありがとう」と言っている日本人はあまり見掛けない。「それを当然のこと」と思っているからであろう。だが、アメリカ人ならば、そういう場面では必ず「Thank you」と声に出して言う。それは、「自分がサービスを受けている」という感覚でいるし、ウェイター達が「サービスをしている」という感覚でいることを知っているからだ。アメリカ人が機内でのこの光景を見たなら、「日本人とはなんと傲慢な人々なのだろう」と思うに違いない。私が見ていてもそう思うし、「国際的になれない日本人」として恥ずかしく思う。

忘れてはならないのは、サービスをされた時の感謝の気持ちなのだ。そもそも「チップを払う」という行為は、受けたサービスに対する謝礼、感謝の気持ちなのである。この気持ちを忘れてしまったら、全くの本末転倒になってしまう。日本人は、「サービスを受けている」という感覚はなく、「それが当然」と思っているため、とかくこの「感謝の気持ち」を忘れがちになる。「サービスに対してチップを払う」という習慣がないにせよ、サービスを受けた時に、サービスしてくれた人に対する感謝の気持ちを持つことは、人間として基本中の基本である。道徳的な面以外にも、サービス業全盛のこれからの現代社会において、サービスをするものと受けるものとの関係が円滑・良好になる、という意味でも非常に大切なことである。感謝の気持ちを持ちつつ、受けたサービスの質を厳しい目で見ていくことが、これからの時代は必要となる。


「コラム」へ戻る

HOME > Every Day Life > Column