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エクアドル日記(2004年2月)
2月13日(金) 雨後晴れ
今日は休み時間に生徒達とサッカーをした。奴らはとにかくボールを持ちたがる。人にパスするなんてことを考えない。「俺が俺が」って、ボール持ったらひたすらドリブルしてる。だけど中には足技が達者な奴もいた。まぁ全体的にはレベルは低か
ったな。しかしこうやって友達のように生徒達とサッカーやって大丈夫かね?17歳くらいだと、生徒との距離感が難しい。俺が講師として、教室での威厳を強固にするためには、サッカーでも奴らを叩きのめさねば。サッカーでいいとこを見せれば、さらに奴らに尊敬の念で見られることになるわけだ。
夜、先輩隊員の室崎さんちで飲み会があった。新しく着任した俺とモロちゃんと直子ちゃん(クエンカからバスで40分のパウテという小さな街に着任)の歓迎会を、クエンカの先輩隊員が開いてくれたのだ。美味しいカレーライスと酒で大満足。
夜中12時過ぎに家に帰り着きドアを開けたら、家の中がとんでもない状況になっていた。床が水浸しなのである。玄関はかなりの水深だ(2cmくらい)。水は、上階から絶え間なく流れてくる。
「おーい、誰もいないの?」
家には誰もいないようだ。だが電気がついていたから、かあちゃんはすぐ戻ってくるのだろう。
俺は水が床を流れる中を3階に上がった。3階は今改装中で、部屋には工具やガラクタが散乱している。部屋の横の洗面所から、勢いよく水が室内に噴き出していた。見ると、洗面台の下のパイプが外れている。俺は、パイプを吹き出す水にあてがって水を止めようとしたが、すぐに外れてしまう。そこで近くにあったスパナでパイプを押さえつけ、何とか止めた。何度も失敗する間、体中水をかぶってびしょ濡れだ。
「何で俺がこんなことしなきゃならねぇんだ?」
酔った頭で考えながら、1階に下りると、半地下に住んでいる若い女性からクレームが来た。
「一体どうしたの?水が流れてきたわよ!」
「それはこっちが聞きたいよ!」
そしたらかあちゃんが帰ってきた。
「一体どうしたの?!」
俺は状況を説明した。一応水は止めたので今は流れてないけど、これだけ水があるってことは数時間は吹き出してたな、と。かあちゃんは8時頃出かけたらしく、その時は異常はなかったそうだ。今はもう夜中12時半。
その後、かあちゃんと二人で、水浸しになった家から水を掻き出す作業を延々と1時間近く続けた。デッキブラシで水を外に掻き出す。出しても出しても水はなくならない。酔っ払った俺には結構キツイ作業だったよ。考えてもみてくれよ、毎朝5時半に起きて仕事して、やっと週末になって酒飲んでいい気分で帰ってきた夜中に肉体労働だよ?
そしてさらに出来事は続く。エクアドルに来て初めて、俺の「日本人としての常識」が、完膚なきまでに覆される瞬間がやって来たのだ。
夜中1時半、やっと水かきも終わって部屋に戻って寝ようとすると、家が面した外の通りで、若者達が6、7人集まり、ギター伴奏でいきなりみんなで歌い始めたのだ。これには俺も目が点になった。こちとら酔っ払って今家の中の水をやっとの思いで掻き出し終わって疲れ果てている。そりゃそうさ、毎朝5時半に起きてんだから。でやっと寝れると思ったら、すぐ目の前の道で大声で大宴会が始まったではないか!
俺はすかさずかあちゃんに言って奴らを黙らしてくれるよう頼もうとしたが、信じられない答えが返ってきた。
「明日はバレンタインだから、みんなフィエスタ(宴会)をやってるのよ。」
「いや、そんなこと言ってんじゃなくて、うるさくて寝れないから『静かにしろ』って言いたいんだけど。」
「それは出来ないわ。(公共の)道でやってるんだから、『静かにしろ』なんて言えないのよ。分かる?」
俺はその答えに、しばらく呆然としてしまった。
「全く分かんねぇよ!」
と言って自分の部屋に入ると、怒りに任せて思いっきりドアを閉めた。
こんなことがあっていいのか?真夜中の1時半に、公共の通りで大騒ぎが始まる。近隣の人は寝たくても寝られない。だけど、バレンタインだし公共の道でやってるんだから、って理由で誰も文句を言わない。日本だったらすぐに警察に通報されてるよ。
大抵のことは動じないで受け入れる巨大な包容力の持ち主の俺でも、こればっかりは我慢ならなかった。だがかあちゃんに「静かにしろとは言えない。」と言われてしまった以上、違う方法で奴らを追い払うしかない。
俺は窓のカーテンを開け、通りを見た。俺の部屋の窓は大きく、道とはものの5mくらいしか離れていないので、カーテンを開けると道から部屋の中が丸見えになる。俺は窓際に立って、奴らのバカ騒ぎを苦虫を噛み潰した顔をしてじっと見つめた。奴らはすぐに俺に気づいた。それでも2曲くらい平気で騒いで歌っていたが、ついに俺の「テメェらうるせぇんだよ!」というオーラを感じたらしく、店じまいして車で退散した。奴らも最低の良識は持っているようである。
奴らに聞いてみたかったな、「エクアドル人意識調査」として。
普通、夜中の1時半に外で宴会やらないよな?お前らが今まさに寝ようとしている俺の立場だったら、「バレンタインだからしょうがない」って諦めるかい?それともムカついて文句の一つも言いたくなるかい?
こうして長い一日が終わった。
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