HOME > THE WORLD > Latinoamerica > Ecuador > Diario > Diario2004 > 041117

エクアドル日記(2004年11月)
11月17日(水) 晴れ

W杯南米予選ブラジル戦@キト

今日は2006ドイツW杯南米予選、ホームでのブラジル戦。この一戦に向けての盛り上がりは半端じゃない。相手は世界チャンピォン。そしてホームでの一戦。国中の異様な状況は、前回のホームでのチリ戦とは比べ物にならない。万が一ブラジルに勝とうものなら、1週間はお祭り騒ぎが続くだろう。
ブラジルももちろん本気だ。ワールドカップ予選で手を抜くわけにはいかない。ヨーロッパシーズンの真っ只中だが、ほぼベストメンバーが揃った。ロナウド、ロベルト・カルロス、カカ、ロナウディーニョ、カフー、アドリアーノとキラ星のごとくスーパースターが並ぶ。

クエンカ、朝のウロコ雲

だが、ここはエクアドル。例によってエクアドルの汚い戦法が既に始まっている。前回ホームのチリ戦もそうだったが、相手チームの練習場としてグアヤキル(海沿い、酷暑の大都市、標高0)を用意。そして試合会場は標高2800mのキト。低地で調整した相手チームは、高山の薄い空気に対応できず、サッカーどころではない、という戦略だ。実際、2−0で勝利したチリ戦も、後半はチリ選手の足が全く止まってしまった。だが、これがW杯予選ホームでの戦い方だ。ホームアンドアウェイのW杯予選では、ホームにおけるこういった汚いやり方は常識。相手の練習用に芝生もなく石がゴロゴロしている最悪のコートを用意、なんてのはよく聞く話だ。エクアドルも、その変化に富んだ気候・地勢を最大限に利用しているだけなのである。

今日はほとんどの男どもが、午後4時のキックオフを前に浮き足立っている(女性はそうでもない)。俺の働く職業訓練校SECAPでも、通常は午後4時までの勤務時間なのだが、ほとんどの職員は校長に許可を貰って、3時ごろにはさっさと帰ってしまった。この試合をTVで見るために、である。これが南米におけるサッカー、特に代表戦の位置づけである。今日は、午後4時からかなりの部分でエクアドル社会が止まる。「クエンカの竹下通り」と俺たちが呼んでいる、若者が集まる通り「レミヒオ・クレスポ通り」も、今日は大勢の若者がサッカーを見ながら気勢を上げるものと思われる。
余談だが、ある俺の同期隊員は、「この南米予選ブラジル戦こそ、2年間のエクアドル生活で一番楽しみにしていた日だ!」と言ってはばからず、平日だというのにキトのスタジアムに観戦に行った。

コンピュータを使った授業(SECAPにて)



俺も午後4時にSECAPを後にしてバスで家に帰る。バスは、通常通り走っているようだ。だが運ちゃんも気が気じゃないらしく、バスの中に試合のラジオ中継を大きく流している。

家に帰ってTVをつけると、この”世紀の一戦”は、共同制作でTV全局が中継していた。東京で言えば、日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東がすべて中継した、ってことになる。
試合は、0−0で折り返し、後半32分にエクアドルが先制。この時のエクアドル選手・ベンチの喜びよう、アナウンサーと解説者の絶叫、TVのスローモーションでの得点シーンの繰り返し振りは、今まで聞いたことも見たこともないほどの驚異的・滑稽的なものだった。まるでワールドカップで優勝したかのような狂喜乱舞、お祭り騒ぎ。
ここから残り15分、さあブラジルの底力が見れるぞ、と思いきや、その後ブラジルは見せ場すら作れずにエクアドルがそのまま1−0で逃げ切り勝利。ブラジルにコンディション作りをさせなかった悪徳作戦が功を奏したのだ。後半、ブラジル選手の運動量は目に見えてガタ落ち。いつものブラジルらしさは全く感じられず。さしものブラジルもやはり標高には勝てなかった。
初出場した前回2002年日韓W杯予選時もホームでブラジルを下している。再び大金星。前回予選のブラジルは絶不調だったが、今回はこれまで不敗で首位を快走。そのブラジルに初黒星をつけたのだから、この勝利は価値があるといっていい。

この勝利でエクアドルは南米予選3位に大躍進(1位アルゼンチン、2位ブラジル)。完全にドイツ圏内に入っている。だがまだ先は長い。これからどうなるか一寸先は闇、だ。それにしても、この薄汚い戦法があればホームではかなり勝てそうなことを予感させる、王者ブラジル戦の勝利であった。


>次の日の日記へ

HOME > THE WORLD > Latinoamerica > Ecuador > Diario > Diario2004 > 041117