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エクアドル日記(2004年12月)
12月6日(月)
軍隊チームが実習を行っているところ
休み時間、バルで飯を食う生徒達
テレビの授業が始まって2週目、月曜日。ここで確定した授業の参加メンバーを紹介してみよう。大人の電気系の技術者が8名、それにSECAPの電気科生徒の若者が8名。大人の方の技術者のうち、5名がエクアドル軍の軍人である。SECAPには、軍の人間が色々な技術を学びに公開講座にやって来る。彼らは、普段戦争のための訓練ばかりやってる純粋な兵士ではなく、民間人相手に電気製品を売ったり軍隊の中で電気機器の修理をする部門にいる、いわば「エクアドル軍技術サービス部」のメンバーなのである。日本の自衛隊に民間相手の「商売」をしているこういった部門があるとは聞いたことがないが、エクアドルを含む中南米の国々では以前は軍事政権が多かったから、軍隊がこういう商売もできるようになっているのが普通なのだろうか。この授業に参加したエクアドル軍人たちは、一般家庭に不法侵入防止用のアラーム(警報機)を売っている人(エクアドルでは家に設置する警報機や車の警報機が結構普及している。それだけ泥棒が多いってことの裏返しだろう。)、パソコンの修理を請け負っている人、また軍の中で実際にテレビや電気・電子機器の修理をする部門にいる人、また兵役で1年間の軍隊生活の真っ只中という19歳の若者、と様々だ。
余談だが、SECAPでは、この19歳で兵役中の若者達に対しても時々各学科が授業を行っている。彼らは自動車整備技術とか機械加工技術とかを学びに来る。この授業は軍側がSECAPに要請して開講されるもので、通常昼間に行われるので、ここに来る兵役中の若者達はすべてが迷彩色の軍服を着ていて、何十人も集まった彼らの姿を見るのは普段あまり軍人を見慣れていない俺にとっては壮観である。ただ、みんなまだ子供みたいなもんなので、軍人特有の重厚なオーラは全く感じられない。
そういえばよく考えてみると、俺には自衛隊に所属している友人・知り合いはいない。俺には、「自衛隊」というと普通の社会とは隔離された、閉ざされた世界にあるもの、というイメージがある。また、太平洋戦争後日本は他国と戦争してないので、自衛隊の活動といえば紛争地での治安維持活動に参加したりとか、大災害時にレスキュー隊として出動したりとかのイメージしかない。いつやって来るか分からない有事に向けての軍事訓練は日々行っているのだろうが、一般人がこれらを目にする機会はないので自衛隊が身近なものに感じられることはない。以前宮城県に住んでいたとき、近くに自衛隊の訓練場があったが、車で前を通る時見えたものといえば、門の横の守衛所に立つ無表情の自衛隊員とだだっ広いグラウンドをランニングする隊員の小さな姿くらいのものであった。あの敷地内で行われていることは、一般民間人にはほとんど縁のないことだろう。それとも、「自衛隊員と地元住民との交流会」みたいな、地元の皆さんに自衛隊を知ってもらうイベント、例えば自衛隊施設見学ツアーとか意見交換会とかを開催しているところがあるのだろうか。
エクアドルで軍隊・軍人の一般社会における位置づけがどういうものなのか分からないが、少なくとも俺の授業に参加したエクアドル軍の人々は、ごく普通のオッサンどもだった(うち一人は19歳の若者)。彼らのうちの上官と思われる一人は、休み時間に俺との会話の中で、こんなことをのたまったので俺は呆れた。
「ベトナムは、日本の一部かな?」
イラク戦争から始まって、太平洋戦争とか原爆投下とかそういう戦争系の話をしていた流れからベトナム戦争の話になった時に彼が言った言葉なのだが、仮にも軍人ともあろう者が戦争で有名なベトナムと日本の違いも分からないとは、エクアドル軍内の軍事教育のレベルの低さが一目瞭然である。例えばベトナム戦争におけるゲリラ戦法を題材に、その有効性や作戦の組み立て方などを学ぶ講義とかないんだろうか?
電気科の同僚講師、レナト(左)とフェリックス(右)
さて、話はガラッと変わるが、この日からSECAPでは、夜のスポーツ大会が始まった。これは、夜の授業であるテクニコ・テクノロゴ(注1)の生徒達の大会で、1週間の間夜7時半から10時くらいまで行われる。競技は、サッカーとエクアボリー(注2)で、各学科対抗で試合が行われる。今日は開会式があって、デカイスピーカーとPA機器がサッカーコート脇に設置され、ラテン音楽が大音量でガンガンに流れる中、生徒、先生入り乱れてシュミールを持ち込んでいたるところで宴会モードが花開いている。8時半に俺の授業が終わった後、同僚の電気科講師フェリックスやレナトに誘われ、俺もサッカーを見ながらの宴会に参加した。
テクニコ、テクノロゴの生徒達と大いに盛り上がる。夜11時まで飲み騒ぎ続け、もうバスもないので、フェリックスと相乗りでタクシーで家に帰った。
(注1)テクニコ、テクノロゴとは、高校卒の生徒が技術を学ぶために設定されている技術系の資格。テクニコの資格を得るには1年〜1年半、その後テクノロゴの資格を得るにはさらに1年半ほどのコースを受講して合格すれば晴れて資格ゲット、となる。SECAPでは、各学科テクニコ・テクノロゴのコースを夜に開講している。受講者の多くは高卒の若者で、昼に仕事を持っている。ただ、中には中年・年配のオジさんもいる。
(注2)エクアボリーとは、エクアドル独特のバレーボール。3人対3人で、通常のバレーボールよりもかなり高いネットを用い、スパイクではなく相手のいないところいないところにボールを落とすことによって得点する。エクアドルの多くの公園にはサッカーコートとともにこのエクアボリーのコートがある。
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