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西ヨーロッパ旅行記
1999年4月〜5月
(3)
花の都へ〜フランス・パリ〜
ロンドンのウォーター・ルー駅から、ユーロスターに乗り込む。ユーロスターは、ドーヴァー海峡地下を走る、イギリス−フランス、ベルギーを結ぶ国際列車である。
所要時間3時間で、小雨のパリ・北駅に到着したのは、もう午後8時頃。駅のツーリスト・インフォメーション(旅行案内所)でホテルを紹介してもらおうと思ったが、既に閉まっていた。そこで、まずは北駅の近くにホテルはないか、尋ねてみることにした。駅の外にいた、作業員風情のおじさんに、「このあたりにホテルはありますか?」と英語で尋ねたが、全く理解してもらえなかった。「ホテル!」を強調して何度も言ってみたが通じない。あきらめかけていると、彼は、「オー、オテル!」と言ってとうとう分かってくれた。だが、彼が教えてくれた方向には見たところホテルらしきものはなく、かなり歩きそうだったので、ここでホテルを探すことは断念し、事前に「地球の歩き方」で目星をつけていた、カルチェ・ラタン周辺を探すこととした。そのためには、まずはパリの地下鉄「メトロ」でカルチェ・ラタンまで行かねばならない。しかし、地下鉄の乗り方が分からない。切符売場の横で「地球の歩き方」を開いて、10枚綴りの回数券・カルネ(Carnet)の名前を確認し、売り場窓口の係員に告げる。さすがに始めは戸惑った顔をされたが、旅行者が英語を話していると、すぐに分かってくれた。カルネを買った後、改札前でフランス人達の行動をしばらくよーく観察し、自動改札の通り方を学んだ。そしてめでたく地下鉄へ乗り込む。次なる難関は、乗り換えだ。どこの駅で降りたらいいか、車内アナウンスをよーく聞いていなければならない。ただでさえフランス語は全く分からないのだ、駅の名前だけでも何とか聞き取らなければ。
車内はかなり混んでいた。時間からして、みんな1杯飲んでこれから家路についているところか、はたまたサラリーマンの帰宅時なのか。日本のラッシュ時とまではいかないが、結構な混雑度である。その中で、私が一番感じたことは、「フランス人は小柄で優しそうな穏やかな顔付きをしている」ということと、「フランス語は柔らかな響きであり、悪い言葉で言うとなよなよしている」ということだ。この二つの事柄により、私はフランス人が非常に身近に感じられた。これは、イギリスから移動してきた旅行者としては、普通の反応なのかもしれない。前述したように、イギリス人の体格は剛健でがっちりしている上に、非常に厳しい顔をしている。全員強気・頑固に見える。ややもすると日本人にとっては、非常に「ビビる」顔立ちである。「イングランド代表と日本代表がサッカーをやっても、身体と顔で圧倒されてもおかしくないな」と言いたくなるくらいの違いである。
これに対し、フランス人には親近感が持てる。ラテン系フランス人。小柄で華奢な人も多い。眼鏡をかけた学生などは、非常に知的に見えるが決して男性的でない。そしてあのフランス語の響き、話し方。イギリス人とは対照的だ。
さて、何とか目的地のカルチェ・ラタン近くの駅サン・ミッシェル駅で地下鉄を下車し、ホテルを探して夜の街を歩く。「地球の歩き方」によれば、この辺りは学生街であり、学生向きの店が多いそうだ。ホテルも中級クラスが多くあり、一つ一つ表に出ている料金表を確かめながら歩いた。(当時のレートは、1フラン=20円程度)
結局390フランのホテルに泊まることとした。フロントには、細身の若者が立っている。見たところ、20代前半の学生アルバイトのような感じだ。
「部屋ありますか、3泊したいんだけど。ホットシャワーのある部屋で。」(英語)
彼は帳簿を見て考え込んだ後、こう言った。つたない英語である。
「途中で部屋を変わってもいいなら大丈夫です・・・。」
(部屋を変わるのか・・・)
と考えていると、彼は、帳簿を私に見せながら、必死にまたしゃべりだした。
「いや、明日チェックインする客をこっちの部屋に入れちゃえばいいから、大丈夫、3泊同じ部屋でいけるよ!OKだ。」
私は、彼の心使いがとても嬉しかった。一生懸命に私が部屋を変わらないで済む方法を探してくれたのだ。
「メルシー!」
私は初めてフランス語を使って礼を言った。
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