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JUAREZ
フアレス(シウダー・フアレス)
1998年8月旅行、2002年11月記

アメリカの南側に位置するメキシコ。アメリカ・テキサス州の街エルパソから東側は、リオグランデ川がアメリカとメキシコとの国境である。エルパソから、リオグランデ川にかかる橋を15分ほど歩いて渡りきると、そこはもうメキシコ。橋の上の歩道は、アメリカとメキシコを行き来する人々(主にメキシコ人の出稼ぎの人々と思われる)でごった返している。そして、車は渋滞している。渋滞しているのは、メキシコ側からアメリカ側に入る車線だ。メキシコからアメリカへの入国は、メキシコへの入国より大分厳しそうだ。そりゃそうだろう、メキシコからは麻薬とか危ないものが密輸される可能性があるのである。よって、アメリカへの入国審査は時間がかかるため、渋滞するのだ。ちょうど、オランダから隣接の他の国への入国審査が厳しいのと似ている。(オランダはマリファナが合法なため、オランダから出国する場合、麻薬を持っていないかのチェックが厳しい。)
そういえば、最近ブルース・ウィリス主演の「ラスト・マン・スタンディング」という映画を見たが、まさにこのテキサスとメキシコを舞台としたギャング映画であった。

橋の上は、さすがに鉄条網が張ってあり、リオグランデ川に飛び降りて不法入国などはできないように警戒している。
メキシコへの徒歩での入国は、全く入国審査はない。25セントを払えば、それでOKである。
メキシコ側の街ファレスに入ったとたん、アメリカとは別世界が広がる。まず、英語の世界が一斉にスペイン語の世界に変わる。店の看板や道路標識すべてがスペイン語となる。全く読めない。そして、活気に満ちた、人々が行きかう通りが現れる。
人ごみの中を一人歩いていると、怪しいオヤジが声をかけてくる。
「Women?」
こっちが「えっ?」というような顔をすると、相手はこちらが日本人かもしれないと思ったらしく、片言の日本語で、
「女?」
と言い換えてきた。そう、こいつはいわゆるポン引きなのだ。しかも白昼からいけしゃあしゃあと。片言の日本語を話すこのオヤジと少ししゃべった。どうやら結構ここには日本人も来るようである。
アメリカでは、怪しいところに行かない限りこういう声をかけられることはほとんどない。そう、メキシコに入っていきなり世界が変わったのだ。誰かが引っ切り無しに声をかけてくる。タクシーはどうだ、靴磨きしてかないか、等など。

いろいろな国を旅行するうちに気づくことがある。それは、街を歩いている時に、どんどん人に声をかけられる国と、誰も声をかけてこない国がある、ということだ。前者はいわゆる「途上国」と呼ばれる国で、後者は「先進国」と呼ばれる国である(この呼び方は私はあまり好きではないが)。
途上国と呼ばれる国を旅行すると、自分から何もしなくても、街を歩いているだけで人が声をかけてきて、そこから何かが始まってゆく。先進国と呼ばれる国では、自分から働きかけていかない限り、何も起こらない。その意味で、途上国を旅行するのは楽しい。何か予期せぬことが起こるのである。それはひどい「ボッタくられ」かもしれないし(ベトナム旅行記参照)、有意義なことかもしれない(エジプト旅行記、タイ旅行記参照)。そこに何があるかは、飛び込んでみないと分からないのである。しかし、そこに突っ込むことで、彼らとのコミュニケーションが生じ、そこから彼らの考え方を学ぶことができる。なるべく多くの人間と接触することで、その土地のこと、人々の考え方が分かってくる。
先進国に旅行しても、自分から何か積極的に動くことが重要なのであるが、そうした場合でも、予期しないことが起こることはあまりない。人々は大概旅行者に対して親切で優しい。その親切心を受けて、自分の思い通りのことが実行できる。が思いもよらないハプニングは起こらない。
これに対し、途上国では、まず人を簡単に信じることは禁物である。声をかけてくる彼らの多くは、私たちから少しでも多くの金を取ることを狙っている。だが、それで彼らを避けてばかりいては何も始まらないので、信じられそうな奴を見つけて、そいつの世界に飛び込んでみると、何かが起こるのである。

しばらく歩くうちに、渋谷のセンター街なみに人々でにぎわう通りを見つけ、そこに入る。様々な店が両側に並び、道にも屋台のような露店が出ている。ジュース売りワゴンでコーラを買うと、いきなり安い。アメリカからわずか徒歩20分くらいで、物価が全く違う別の国に来たのである。
教会のようなファレス市歴史博物館を見た後、ファレス市場へ向かう。建物内部にある市場には、それこそありとあらゆる店が連なっている。日用雑貨や衣料品、食料品などの他、メキシコ名物の多種多様なチリ(唐辛子)の店、ソンブレロハットの店、、伝統工芸品の店・・・。メキシコ独特の品が並んでいて、実に面白い。(ファレス市場)
市場内にはちょっとした食堂があり、メキシコ名物タコスが食べられる。

帰り、再び同じ橋を渡ってアメリカへ戻る。アメリカ入国の際はメキシコ入国と違って、審査官によるパスポート検査がある。だが、いくつかの質問をされただけで(アメリカで何を勉強しているのか、専攻は何か)、すぐに通してくれた。
こうして、またアメリカという国に戻った。

                                                                          

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