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ネパール旅行記
2003年6月・記
(1)カトマンズはハシシ天国

カトマンズのトリブヴァン国際空港に降り立つ。バンコクからおよそ3時間。
飛行場でたまたま知り合った「世界旅行社」という旅行代理店の若い店長と一緒に、タクシーでカトマンズの中心部タメル地区へ向かう。タメル地区は、カトマンズでもっとも賑やかな地区で、安宿や安食堂が集まる、バックパッカーを含む旅行者が一番集まるところだ。歩いていると、白人が多い。やはりその昔欧米人のヒッピーたちの聖地だった面影がうかがえる。(「ヨーロッパからの旅人にとっては、ここカトマンズが『東の果て』らしい」と沢木耕太郎氏は書いている。)
負けず劣らず日本人も多い。バックパッカー風情の若者が大部分だ。インドとセットで長期旅行をする若者が多いようだ。食堂で日本人の若者3人組と会った。彼らは、私が一人で食事をしているのを見ると、律儀にも挨拶をしてきた。
「こんちわーっす。」
「ちーっす。」
こちらも挨拶を返す。3人は、私の斜め前のテーブルに陣取った。聞こえてくる話では、3人はバラバラに旅行していたのだが、昨日たまたまカトマンズで出会って、意気投合してしばらく行動を共にしているようである。そのうちの1人か2人は、明日には別の場所に向かって出発するようだ。ポカラとかヴァラナシといった街の名が聞こえてくる。
彼らはネパールのビールで乾杯した後、色んな話をしていたが、私が一番耳ダンボになったのは何と言っても麻薬の話だ。そのうちの1人はハシシを結構やったようで、もう一人も「一度手を出して大変な目にあった」と言っていた。

そう、カトマンズはハシシ天国である。タメル地区を歩いていると、色んな奴らに声をかけられる。だが、その頻度はインドほどではない。さらに彼らはそれほどしつこくなく、何といっても悪質さがない。だまして何としてでも金をふんだくってやろう、という感じがない。もちろん、値段を高く吹っかけるのは他の国と同じだが、インドのようにあの手この手でだまそうとはしない。お土産売りが一番多いが、次に多いのは麻薬売りである。
「はっぱ?」
「ドゥ・ユー・ライク・はっぱ?」
奴らは「はっぱ」という日本語を使って声をかけてくる。マリファナやハシシのことを言っているのである。

葉っぱと言ってるのはマリファナのことで、つまりは草売りである。ハシシは、マリファナの樹脂を抽出したもので、言わばマリファナの有効成分のエキスである。ハシシを売る奴等は、自分の手に正露丸〜パチンコ玉大に丸めたハシシを持っていて、歩きながらそれを見せてくる。パッと見ではつや消し黒の正露丸と言ったところ。水分でしっとりとしている感じである。ハシシは、中近東で古くから親しまれている麻薬で、インド以西モロッコあたりまではマリファナよりもハシシの方が主流だという。有名なのはネパール、レバノン産で、ネパールでは黒くしっとりしているのに対し、レバノン産は茶色くて乾いていると言う。イスラム教で飲酒を禁止されているイスラム国では、ハシシに対しては寛容なところが多いようである。ちなみに、インドより東の東南アジアではハシシよりマリファナの方が一般的である。

実家の村でハシシ(マリファナ)を栽培していて、それを大都会カトマンズに売りに来ている奴らもいる。
ハシシを売っている奴らは、若者が多い。見たところ10代後半から20代前半だ。大学生風情のごく普通の若者が声をかけてくることもあれば、すでにラリッている奴もいて、目がとろんとしてろれつが回っていなかったりする奴もいる。

さて、そんなドラッグ売りどもを右に左にやり過ごていると、小さなギターのような楽器を持った一人の男に声をかけられた。


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