HOME > THE WORLD > Latinoamerica > Brasil
ブラジル旅行記
2005年9月・記
(3)イグアスの滝からアマゾン河へ
アルゼンチン側イグアス国立公園入り口
電車に乗って遊歩道へ向かう
「悪魔ののどぶえ」へ向う遊歩道
リオのガレオン国際空港
イグアス二日目。今日は国境を越えてアルゼンチン側の国立公園に行く。昼過ぎのフライトでマナウスに向かうので、実質的には午前中数時間しかいられない。
朝5時半に起きると、何だか頭がボーっとし、体がだるい。トイレに行ってみるとひどい下痢だ。
(一体どうしたんだ?食中毒?風邪か?何か悪いもん食ったかな?)
ベッドから起き上がる気もせず、とにかく何もする気が起こらない。思えば、純粋な下痢以外で旅先で体調を崩したことは今までほとんどない経験である。一人旅ではうかつに体調を崩すわけにはいかない。
しばらくぐったりしていたが、気力を振り絞って起き上がる。デイパックを持って外に出た。
朝6時半のまだ薄暗い街を、アルゼンチン側の街プエルト・イグアス行きのバス乗り場の方に向ってフラフラと歩く。ボーっとした頭で朦朧としながら、重い体を引きずる。バスターミナルに着いて、係員にプエルトイグアス行きのバス乗り場を聞くと、今日は日曜なのでバスは8時半までないという。
バスターミナルの近くの道端の縁石に座って途方に暮れていると、ターミナルすぐ横にあるタクシー会社の運ちゃんが声をかけてきた。
「どこに行くんだ?」
「イグアスのアルゼンチン側に行きたいんだけど、バスがないんだよ。」
「タクシーで行くかい?」
「うぅむ・・・。ちょっと考えさせてくれ。」
タクシーなら、乗り換えもないし時間もかからないしバスで行くのよりずっと楽だ。この体調最悪状態では確かにタクシーで行きたい気がする。だが値が張る。しばらく考えて、彼にいくらか聞いてみた。そして値切り交渉開始、だが思うように下がらない。仕方なく往復でタクシーを貸し切ることにした。
タクシーは20分も走るとブラジル−アルゼンチン国境の川にかかる橋を渡り、ブラジル出国手続きとアルゼンチン入国手続きのオフィスで停まる。問題なく通過。再び走り始めたタクシーは、20分ほどでアルゼンチン側のイグアス国立公園に到着。ちょうど8時前、開園時間ジャストだ。タクシーの運ちゃんに10時半には戻ることを告げ、チケットを買って中に入る。入り口から入ったところから公園内を見渡すと、これまたディズニーランドばりの清潔感あふれるたたずまいだ。
国立公園のガイドのニーちゃんにアルゼンチン・イグアス国立公園の『歩き方』を聞いてみた。
「2時間ちょっとしか時間がないのなら、『悪魔ののどぶえ』だけしか見れないですね。ここから発車する電車は、30分に1本ですから。」
普通にスペイン語での会話である。河一つ隔てただけで、違う言葉を話す国に来た。
結局、ハイライトである悪魔ののどぶえだけを見ることにした。
ここアルゼンチン側のイグアス国立公園では、入り口から電車が観光客を見所まで連れて行く。停車駅は二つあって、それぞれの駅からブラジル側のように滝鑑賞遊歩道が滝に向かって伸びている。初めの停車駅からはブラジル側よりもかなり長い遊歩道が延びているらしい。僕は二つ目の停車駅で降り、悪魔ののどぶえに向って遊歩道を歩き始めた。1200mの遊歩道は悪魔ののどぶえの落ち込みの横まで延びていて、莫大な水が谷底に落ちてゆくさまをすぐ脇から見ることができる。
厖大な水量が落ちてゆく滝つぼからは、真っ白な水煙が霧のように上がってきて、滝上部まで立ち込めている。自然が創った巨大な流し穴の様相である。
フラフラながらも何とかアルゼンチン側の滝見学を終えた僕は、国立公園入り口に戻り、待っていたタクシーの運ちゃんが僕に手を振っているのを見つけ、フォス・ド・イグアスへの帰路に着く。午前11時過ぎ、宿に戻った僕は、部屋からバックパックを取って空港へ。12時50分発のヴァリグ・ブラジル航空機でマナウスへ向う。
飛行機は途中リオ・デ・ジャネイロを経由。飛行機を降りてロビーへ向う途中、一緒に降りたビジネスマン風の気さくな中年のオッさんが英語で声をかけてきた。
「リオは危ない街だから気をつけろよ。」
「いや僕はこのあとすぐにマナウスへ向うんです。」
「そうか。私はマナウスよりイグアスの方が好きだな。あの滝は絶景だ。」
「そうですか・・・。」(内心「いや、これから俺行くンやけど・・・。」と思いながら)
リオのガレオン国際空港の清潔で明るい待合ロビーで、売店で買ったドーナツ1個を、アイスティーと一緒にやっと食べる。今日始めて口にした固形物である。朝は全く食欲がなく、イグアスでは飴数個以外何も食べれなかったし、ここに来るまでの飛行機の機内食も無食欲で食べなかった。それにしてもいつも思うことだが、空港にある売店やレストランは、何でもかんでもボッタクリである。ドーナツとアイスティーで8レアル(約3.4ドル)もした。腹立たしいことこの上ない。
マナウス行きの飛行機は1時間ほど遅れた。マナウス着現地時間夜10時30分(注)。
マナウスのエドゥワルド・ゴメス国際空港の外に出ると、夜だというのに熱帯夜間違いなしというひどい熱気である。ブラジル南部イグアスから、ブラジル北部マナウスまで一気に上がってきた。ブラジルは国土の大部分が南半球にあるので、基本的に北に行くほど暑く、南ほど涼しい。ここマナウスは赤道直下、南緯3度で、僕の住むクエンカとほぼ同緯度である。つまり、クエンカからずーっと東に向えば、このマナウスの街に着くことになる。アマソナス州の州都、人口140万人、海抜40m、アマゾン河を取り巻く広大なジャングルの中に建設された一大都市である。街はアマゾン河の支流ネグロ河(ネグロは「黒」という意味なので、ネグロ河=黒い河)の北岸に位置し、輸送大動脈であるアマゾン河の重要な一大拠点港となっている。
タクシー乗り場に出ると、タクシーの運ちゃんたちが声をかけてくる。ここはどうやらサンパウロやイグアスとは違うらしい。そのうちの一人のオヤジが、しつこく僕を付け回す。僕はバスに乗ろうと思っていたので、このオヤジにバス乗り場を聞いてみると、彼は「もう遅いからバスはない」と言う。そこで空港内に戻り、インフォメーションのネーちゃんに聞いてみると、11時半までバスはあるはずだ、と言って親切にも空港の外まで出てバス乗り場を教えてくれた。ウソをついていたタクシーオヤジは、それでも引き下がらない。
「普通なら市内まで42レアル一律だけど、30レアルにするから。」
「20レアルならいいよ。」
ここブラジルは、空港から市内へ向うタクシー料金は一律であることが多いようだ。サンパウロもそうだった。確かに『歩き方』にもマナウスでは空港から市内まで所要25分で一律42レアル(約18ドル)と書いてある。すぐに気づくことだが、ブラジルでは空港タクシーの料金がベラボーに高い。空港タクシーが高いのはどの国でもそうなんだけど、ブラジルではバスとの料金差が信じ難いくらいである。バスだとわずか1.5レアルほどのところが、タクシーだと42レアルである。サンパウロなんか空港から市内まで40分〜1時間の道のりで60レアル(約26ドル)もする。日本並みだ。
僕はこのインチキオヤジにかなり吹っかけた。20レアルは、通常料金の半額以下である。実を言うと僕も体調は悪いままだったし、時間のかかるバスより、ここはタクシーで一気に行きたいと思っていたのだ。オヤジはしばらく損得勘定を頭の中で巡らしていたが、苦笑のうちに渋々OKした。
奴は「駐車場に車を止めているから」と言いだし、僕を先導して歩き出した。(何かおかしいぞ)と思っていると、やっぱりそうだった。奴は正規のタクシー運転手じゃないのだ。普通の車でタクシー営業をしている、隠れタクシーである。この手の運ちゃんはエクアドルにもいて、テルミナルでタクシーの運ちゃんのように客を誘い、タクシーのように普通の車で客を運ぶ。
初老のオヤジは、怪しい、不器用な手つきで車を出す。始めはちょっと危なっかしい感じの運転だったが、次第にノってきた。信号無視して飛ばしに飛ばす。炎の走りでわずか15分ほどでマナウスのセントロに到着。僕は、港の近くにあるホテルキョウトにチェックイン。1泊朝食付きで38レアル(約16ドル)。
部屋の中は、古めかしいテレビと冷蔵庫が配置され、薄暗いラブホテルを改装したような造りだ。何しろ名前が「ホテルキョウト」である。室内は、熱気と湿気でサウナのようだ。同じように年代物のクーラーをつける。夜でこの暑さということは昼間は一体どんな地獄なのだろう。
体調は悪いままで、下痢もひどい。今日はよく寝て明日には回復せねば。
(注)ブラジルは国土が広いので2つのタイムゾーンがある。
(NEXT)
(BACK)
(ブラジル旅行記 1−2−3−4−5−6)