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エジプト旅行記
2000年5月・記
「Welcome To The Wonder World」(5)
〜ピラミッド編(2)〜

ハニーの家は、ギザから南へしばらく下った所にある、小さな村にあった。村の道は、全く舗装されていない土の道である。
ハニーの家は、見たところ石造りで、こじんまりとした普通の家である。車を降りると、突然のアジア人の来訪に、近所のガキどもが集まってきた。みんな私を囲んで、人懐っこく話しかけてくる。子供はどこの国でも純粋で同じなんだな、とうれしくなる。

彼の家庭は、奥さんと二人の小さな娘さんがいる。奥さんは、予期せぬ訪問者に、始め戸惑った様子であったが、すぐに料理を作り始めた。彼女は快活なタイプではなく、控えめなタイプであった。イスラムの民族衣装(ほとんど身体を隠す服、イスラム教では女性は肌をむやみに露出することを禁じている)を着ていたが、一目で美人と分かった。それまで、あまりエジプト人の女の子をかわいいと思わなかった私にとっては、彼女は好みのタイプであった。しかし、かなわぬ恋・・・(笑)。
二人の娘は、5歳と2歳といったところ。お姉ちゃんの方は、私の方を初め柱の陰から興味深く見守っていたが、すぐに挨拶をしに近づいてきた。妹の方も、初めハニーから離れようとしなかったが、次第に私に慣れてきたようだ。

料理を待つ間、ハニーがTVをつけた。エジプトのムバラク大統領が出演している番組をやっていた。ハニーの話では、ほとんどのエジプト人が、ムバラク大統領を尊敬し、支持している、とのことであった。なるほど、そう言われてみると街中で大統領の顔写真の大きな看板を何度か見かけた。

そうこうするうちに、ハニーは部屋で祈り始めた。イスラム教では、1日に5度祈りの時間がある。祈りの仕方は、まず長方形のラグのような敷物を足元に敷き、メッカの方角に向かって立つ(メッカは、イスラム教の聖地。サウジアラビアにある)。始め立って頭を垂れて祈り、その後敷物の上にひざまずいて土下座するように祈る。それを何度か繰り返す。イスラム教徒の信仰心を目の当たりにし、宗教がエジプト人の拠り所になっていることを改めて感じた。これと比較し、日本人は、まったく宗教心がないに等しい。だが、世界中の多くの人間は、宗教を自分のバックグラウンドとして持っている。外国人を理解する場合、「宗教」は必ず考慮すべき項目なのだ。欧米のキリスト教、アラブ世界のイスラム教、アジアの仏教。イエス・キリスト、マホメット、釈迦。各時代に各地に現れた「聖者」によって独自に発展した「宗教」は、民族の象徴であると同時に、人間同士の紛争の元となる。

話がだいぶそれたが、奥さんの手料理が出来上がった。その料理の美味しかったこと!
はっきり言って、ハニーの家に行く前は、エジプトの人々が普段食べている料理が、自分の口に合うかどうか、正直不安だった。招待されるからには、そうそう残すわけにもいかないし。しかし、それは杞憂だった。
エジプト名物・モロヘイヤのスープ、ナスやピーマンやぶどうの葉でピラフを包んだ料理・ドルマ(これは、エジプト料理と言うよりも、トルコで有名である。イスラム圏特有の料理であると思われる)。さらに、ぶつ切りの牛肉を柔らかく煮込んだもの。どれもとても美味しかった。

食事が終わり、二人の娘とも私に慣れた頃、「そろそろおいとまするよ」とハニーに言った。家族と近所のガキ達に見送られながら、再び私とハニーは車に乗りカイロへ向かい走り始めた。エジプト人の生の生活を垣間見ることが出来たことは、素晴らしい体験であった。感謝の言葉を口にした私に、ハニーは、「This is Egyptian hospitality.(これがエジプト人の客を迎えるもてなしさ)」と言ってくれたが、まさにそうだった。

カイロにあるソブヒの事務所にたどり着いたのは、もう夕方6時ごろであった。ソブヒはお茶とたばこを出してくれた。彼に今日1日の出来事を話し、「楽しい1日だったよ」とお礼を言うと、「明日からのルクソールツアーも俺が手配してやる」というので、彼に任せることにした。しかし、その場でエジプト航空に飛行機の予約をしたところ、朝のいい時間の飛行機が取れず、朝6:15発の飛行機に乗るはめになった。がまあ仕方ない、今日は早く寝ることにしよう、やることもないし、今日は砂漠に長い時間いたから体力を消耗したし。事務所を出る際、ハニーに食事のお礼にとチップをはずんで、「奥さんと娘さんたちによろしく」と言って別れた。
ホテルに戻り、10時ごろには眠りについた。明日は4時起きだ。

その夜、夜中腹痛で目が覚めた。腹がゴロゴロいっている。すぐにトイレに駆け込む。ひどい下痢だ・・・・。まさか・・・。
私はハニーの家での食事を思い出していた。火の通っていない料理を食べた覚えはない。待てよ・・・。
食事中、奥さんがペットボトルに入っていた水を持ってきた。ハニーはそれを飲んだが、私には薦めなかった。普通であれば、これだけ歓待してくれている私に対して水を薦めないで、自分だけ飲む、なんてことは考えにくい。おかしいな、とは思ったが、私は何も考えず、「俺も飲んでいいかな?」と聞いてそれを飲んだ。(その時私は、自分のミネラルウォーターを持っていたけれども、わざわざそれを出して飲むのは失礼かなと思った)

それだ!あの水は、ペットボトルに入ってたから、ミネラルウォーターだと思ったのが甘かった。あれは彼らが普段飲んでいる、水道水だったんだ、だからハニーは私に薦めなかったんだ!

この下痢と腹痛は、この後旅行中通して私を悩ませ続けることになる。
(続く)
                                       
 
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