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ベトナム旅行記
2002年1月・記
(3)ボッタクリ・メコンデルタへ(その2)

カラオケボックスで、えびと象耳魚の豪勢な料理を前にして、私はガイドに尋ねた。
「おい、これは料金に入ってんだろうな?」
「何言ってるんだ、これは別だよ、50ドルだ。」
「50ドル?おい、ふざけんじゃねぇぞ!」
とたんに険悪な雰囲気に。さらに話を聞いてみると、ボート代も始めに約束した28ドルに含まれていないと言うではないか。ボート代が100ドルだと言う。しめて178ドル(前述したように、個人ベースの高いツアーでも、すべて込みで40〜50ドルである)。始めに約束した28ドルは、ホーチミンからミトーまでの往復車代だけだと言うのだ。
ここで私は、典型的なボッタクリに自分がはまってしまったことに初めて気づいた。始めに「何が28ドルに含まれるのか」をきちんと確認せず、ツアーの相場から、勝手に全部込みだと判断してしまった私にも非はある。しかし奴は、一言もボートがいくらで飯代がいくらと、全く説明はしなかった。なぜか今回に限って私の懐疑的な視点が欠けていたようだ。典型的なボッタクられ方。今まで数多くの一人旅をしてきたが、ボッタクられるのは今回が初めてである。歌舞伎町でさえボッタクられたことがない私の中に、ふつふつと巨大な怒りが湧き出してきた。さらに、ただでさえ現金の持ち合わせが少なかったこともあり、私は完全に切れた。
「おい、ふざけんなよ、ボッタクリ野郎!絶対に俺は28ドル以上払わねぇからな!!」
奴も私の切れ方を見て、かなり興奮している。
「(片言の日本語で)28ドルは、ホーチミンからミトーまでの移動だけだよ!それ以外は別よ!」
「てめぇ、ふざけんなよ、警察呼べ、警察!!」
「(時計を見て)もう4時半よ、警察閉まってるよ!」
「うそつけ、ばかやろー、警察が閉まるわけねぇだろ!!」

インチキガイドは、いったん外に出た。しばらくすると、果樹園で働く若者3人と一緒に戻ってきた。
「払わないと、帰れないよ!」と奴が言うと、3人の若者が、私を取り囲むように座り、ビール瓶片手に、ビール瓶と私の頭を交互に指差し、脅迫めいた態度を取ってきた。「払わないと、この瓶で頭殴るぞ」ということだ。奴等は普通のベトナム人の高校生風情のガキで、他のベトナム人同様、小柄でやせているので、私は全く怖くなく、むしろ人を増やしての脅迫に、頭にさらに血が上り、大きく吠えた。
「やれるもんなら、やってみろよ、てめぇら!」
その後、1時間ほど奴等と一触即発の状態が続いたが、ボートの船頭が日本語ペラペラで、私の言い分を通訳代わりに伝えてくれたので、話し合いは出来た。しかし、お互いの話しは平行線をたどり、このままでは本当にホーチミンに帰れなくなりそうだったので、ついに妥協するしかなくなった。払った金は、全部で110ドル。178ドルよりはかなり安く出来たが、いずれにせよ大いなる屈辱だ。今までの人生で感じたことのないような屈辱感・憎しみを感じたベンチェー果樹園のカラオケボックス。

帰りの車の中では、奴(インチキガイド)と私は、一言も口をきかないまま、1時間半かけてホーチミンに戻った(車には、奴と私とドライバーのおじさんの3人だったが)。

ベトナム1日目から、先が思いやられる展開。わずか1日経過時点で、始めの現金4万円のうち、早くも1万5千円がなくなっていた。                                                            
(続く)

               
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