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ベトナム旅行記
2002年1月
(6)古都・フエへ
ホイアンを見終えた私は、慌ただしくダナンに戻り、ダナン駅から電車に乗った。ハノイからホーチミン市までベトナムを南北に縦貫して結ぶ「統一鉄道」である。この旅で初めての電車。ここから電車で3時間北上したところにフエがある。

途中電車は、南シナ海を望む海沿いの高台を走る。その海の美しいこと。グリーンの海。そして、ハイヴァン峠を越えると、真っ白な砂浜に囲まれたランコー村が見える。ベトナムのリゾートは、同じ東南アジアのタイやインドネシア等に比べるとまだまだ発展途上だが、その美しさは引けを取らない。これから、リゾート開発が期待されているとのことだが、私の場合そのような、人が集まるような造られたリゾート地に全く興味はないので、むしろ未開発ならではの誰も人がいないようなビーチに行きたいものである。
さて、フエはベトナム最後の王朝・グエン朝(1802〜1945年)の首都だった街である。王宮、寺院、皇帝廟と歴史的な建造物が点在する(1993年に世界遺産に登録)。また、ベトナム戦争時のいわゆる「テト攻勢」では、1か月間フエの街は解放戦線によって制圧された。テト攻勢で最も激しい戦闘があった場所である。
フエには午後7時頃に到着し、フォーン川南東側の新市街に宿を決めた。翌朝、フエの街に歩き出した。
古い街だ。お世辞にもきれいな街ではない。道に砂や埃が積もっている。フォーン川に架かるフースアン橋を渡る。でかい橋だ。相変わらずバイクの交通量が多い。橋の途中から、ゆったりとしたフォーン川を眺める。やわらかな陽光が、川面をきらきらと照らしている。今から34年前、ここでベトナムとアメリカの血で血を洗う戦闘があったとは思えないほど、今は平和なたたずまいを見せている。対岸には、フエの象徴、フラッグタワーが見える(右写真)。
フースアン橋を渡り終えると、急に緑豊かになる。そう、すぐそこが王宮なのだ。ちょうど、東京のど真
ん中に忽然と存在する皇居と似ている。緑のオアシス。
王宮は、その名の通り、グエン朝時代に歴代の王が住居とした場所である。建物の多くはベトナム戦争時に破壊されてしまったが、今でも王宮門、太和殿、顕臨閣、長生殿等が残っている。しかし、破壊され、今は更地になって草が生えているところを見ると、かえって昔の栄華が感じられるのは不思議なものである。これは、タイのアユタヤ王宮跡を見た時にも感じたことだ。ビルマ(現・ミャンマー)により徹底的に跡形もなく破壊された静かな場所にたたずんでいると、時の流れの前には何もかも無力であることを感じさせる。諸行無常。(王宮の風景)
さて、王宮を後にし、フエ宮殿美術博物館、ドンバ市場を回った。博物館ではシクロ運転手にしつこく付きまとわれたが、道案内だけしてもらって、お礼だけ言ってその後は無視。また、ドンバ市場は、今まで行ったベトナムの市場の中では、非常に近代的だった。鉄筋造りの2階建て。だが、それがかえって風情を損ねていた。

こうしてフエでの1日が過ぎた。夕方、フエ駅から再び電車に乗り込む。電車を待つ間、フエ駅前の屋台でコーヒーを飲んだ。ここのマスターが英語が堪能で、ベトナムと日本について、色々な話をした。彼は、「日本人やヨーロッパ人の旅行者は多いが、アメリカ人は少ない」と言っていた。まだ戦争が終結してから30年も経っていないのである。複雑な感情がお互いの国民に残っているのだろう。手を振る彼の写真を撮り、笑顔で別れた(左写真)。
ここから夜行列車で13時間かけて最後の訪問地・ハノイへ向かう。
(続く)
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