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ベトナム旅行記
2002年1月
(8)ベトナムの歴史・ハノイ(1)
午前8時に起き、ハノイの街へ歩き出した。小雨模様だ。外に出たとたん、今まで訪れた街、ホーチミン、
ホイアン、フエに比べ、かなり涼しいことを感じた。長袖じゃないと寒く感じられる。
ハノイは、ベトナムの首都であり、1000年の歴史を持つ古都である。ホーチミンはベトナム経済の中心、ハノイは政治・文化の中心、という色分けがあるようだ。
ホテルからすぐのところに、ハノイの象徴・ホアンキエム湖が広がる。朝からおじさんやおばさんがバドミントンに興じている。ちょっとした公園にバドミントンのコートがあり、ネットを張って本格的にやっているのだ。しかも歳の割にはかなり上手い。バドミントンが人気スポーツであることが分かる。東南アジアではどこでもそうだが。私は大のバドミントン好きなので、仲間に入ってやりたいくらいであった。

湖を左に見ながら歩き、水上人形劇場へ向かった。今晩の水上人形劇のチケットを買うためだ。明日の夜にはハノイを離れる私にとって、水上人形劇を見るチャンスは、今晩が最初で最後なのだ。朝8時にチケットブースが開くとのことで、売り切れにならないうちに朝一番でチケットをゲットした。
その後、ホアンキエム湖上のゴッ
クソン島にある小さな社・玉山祠を見た。1968年にこの湖で捕獲されたという巨大な亀の剥製が展示されている。
ホアンキエム湖には、次のような伝説がある。黎朝の始祖レ・ロイが1428年、湖に住む亀から授かった宝剣で、明軍(当時の中国)を撃破し、ベトナムを中国支配から開放した、という話だ。そして、上の写真にある、湖上の小さな「亀の塔」のある場所で、剣を亀に返還したという還剣伝説である。このことから、上記の亀の発見当時は、これが還剣伝説の亀ではないかと話題になったという。(ゴックソン島)
朝食を食べるため、食堂に入る。汁ありのフォー(麺)を頼んだつもりだったが、汁なしの日本でいう焼きうどんのような料理が出てきた。思っていたものと違ったのだが、この「皿うどん」の美味かったこと。(ベトナムで食べた料理)
五目焼きそばのような感じだったが、上に乗っている炒めた牛肉と野菜の味付けが絶妙だった。この料理は、ベトナムで食べた料理の中で、一番美味しかった料理の一つである。それがわずか15000ドン(約140円)!

ハノイもやはりバイク天国だ。クラクションが絶え間なく響く。しかし、ホーチミンよりは落ち着いた街であるという印象を受ける。ホーチミンの灼熱の開放感とは違って、湖や古い街並み、フランス統治時代の洋館、中国の影響を色濃く受けた建物などがそう思わせるのだ。(ちなみに、すぐ北は中国であり、ハノイは歴史的に常に大国・中国の干渉や侵略を受けてきた。)
しばらく歩いた後、コーヒーが飲みたくなったので、カフェに入る。歩道に設置されたいすに座り、「ベトナムコーヒー」を頼んだ。しばらくして、メチャメチャ苦いコーヒーが出てきた。カップに半分くらいしか入っていない。どうやら、多量の砂糖を入れて飲むのがベトナムコーヒーらしい。コーヒーを飲み終わった後、お茶が出てきた。苦いコーヒーの後味をすっきりさせるこのお茶のサービスは、実にうれしい。
その後、ハノイタワー横に位置する元刑務所・ホアロー収容所へ。ここは、19世紀末にフランスによって造られた監獄であり、フランス支配下のベトナムで、フランスに反抗するベトナム人政治活動家らが収容されていた。そして、ベトナム戦争時には、ベトナム人民軍の捕虜収容所として、アメリカ兵捕虜が収監され
ていた。中には独房や拷問用水槽など背筋が寒くなる展示がされている。
その後、ドンスアン市場、革命博物館、歴史博物館を見て回る。ベトナムの歴史、特にホーチミン以降、フランス植民地時代、ベトナム戦争・・・。
さらにホアンキエム湖北側に広がるハノイ旧市街を歩き回った。
そして、その夜、いよいよハノイで一番楽しみにしていた水上人形劇を見に行った。
人形劇場内は外国人観光客で満席状態。ステージは、水の入った7〜8m四方の小型プールのようになっており、その後ろに幕が張ってある。人形師はその幕の裏側から人形を操り、人形は、水の上で華麗かつコミカルな動きを展開する。
まず、小型プール横のひな壇に陣取った楽団が、ベトナム民族楽器で、何とものどかで懐かしい匂いのする音楽を奏で始める。笛や太鼓の音色は、ちょうど日本の祭りを思い出させる。その中でも、最も私の心を奪ったのは、一風変わった、テルミンのような楽器である。その音色は、幻想的。それが、この空間の雰囲気を独特のものにしていた。
そして、人形が登場する。その動きの軽快なこと。どうやってこの動きを出すのかという、コミカルで鮮やかな動きであ
る。人はもちろん、様々な動物、魚や亀やトラや水牛や龍が、水上を滑るように動き回り、数々のベトナムの民話が語られていく。言葉は分からないが、その動きを見ているだけで楽しい。
龍の口からは水が飛び出し、火薬が爆発する。(水上人形劇)
ショーが終わると、最後に幕の向こうから、演じ手の国立人形劇団員たちが挨拶のために小型プールに出てくる。万雷の拍手が彼らに降り注ぐ。
本当に楽しかった。ベトナムの伝統芸能の真髄を見た。一緒に展開される民俗音楽が何といっても素晴らしかった。音楽はロックばかりではないなぁ、と思った次第である。
帰り道、ホテルまでの道すがら、非常に暖かい気分になっている自分に気づいた。静かな興奮と、何か優しいものに包まれたような幸せな気持ち。
その夜、ホテルのテレビをつけると、日本の「スピード」が歌を歌っていた。
(続く)
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