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ボリビア旅行記
2004年9月・記
(4)青い湖
トゥルーチャ、左下がサツマイモ
バスを降りると、夜のコパカバーナはいきなり寒い。ラパスよりも数段。
寒さに震えながらレストランを探す。小さな街に、レストランはたくさんあった。”TRUCHA”の看板が出ているレストランで、ティティカカ湖名物・トゥルーチャ(マス)を食べる。ティティカカ湖畔に住むインディヘナの人たちは、湖でトゥルーチャやペヘレイを獲り、畑で野菜を作って生活しているのだ。ティティカカ湖の恵みの焼き魚、これが美味だった。驚いたのは、南米に来て初めて「サツマイモ」を食べれたことだ。このトゥルーチャには、付け合わせで野菜、ジャガイモ、米、モテ、そしてサツマイモが添えられていたのだ(右写真参照)。その味は日本の焼き芋と全く同じ。懐かしい味覚の喚起に、思わず顔がほころんでしまった。
食事後、5ドルの安ホテルにチェックイン。
翌朝、快晴。7時半に宿を出て数ブロック歩くと、朝日に青く光り輝く巨大な湖が見えてきた。
ティティカカ湖。
ペルーとボリビアの国境に位置する、深く鮮やかな青の湖。面積は琵琶湖の12倍、最大深度281m、標高は富士山頂より高い3890m、船が航行する世界最高所の湖。このティティカカ湖畔には紀元前6000年頃から人々が生活していたといわれ、インカ帝国もここから始まったという伝説がある。
湖の波打ち際を見ると、水は驚くほど透明だった。
(これが今まで話にだけ聞いていた、あのティティカカ湖か・・・。)
朝8時半発のティティカカ湖、太陽の島を巡る半日ボートチケットを買う。30人乗り程度のボートの屋根の部分に乗り込み、爽やかな風を受けながらティティカカ湖クルーズは出帆した。
近くの水の色は透き通った緑色だ。だが、遠くの湖面を見ると、鮮やかで深い青色をしている。日本海のような「紺碧」というよりは、深いけれども明るさを感じる青だ。
朝日を浴びた湖面がキラキラと輝く。船に取り付けられたボリビア国旗が気持ちよさげにはためいている。
遠くには6000m級の山々が頂の雪を光らせてこれまた輝いている。そしてある方向をみれば、海のようなティティカカ湖が、その水平線をはるかかなたに形成している。
ボートは、1時間半ほど広大なティティカカ湖面を滑り、沖合いに浮かぶ「太陽の島」に到着した。
伝説によれば、この太陽の島は、太陽の神により人間に文化を与えるために遣わされたインカ帝国の初代皇帝・マンコ・カパックとその妹ママ・オクリョが降り立った場所である。あのインカ帝国がここから始まった、というわけである。
太陽の島は小高い丘になっている。その斜面には段々畑が作られている。桟橋から長い階段が伸びていて、丘に登れる。ここには、アイマラ語を話すアイマラ系インディヘナが今でも1000人ほど住んでいるそうである。
太陽の島の丘の頂から見たティティカカ湖の風景は、素晴らしかった。晴れ上がった空の青と、見渡す限り広がる、さらに濃く鮮やかな湖の青。そして島の緑。標高が高いだけあって空もかなり濃い青なのだが、それとは比べ物にならないほど深い青をたたえる湖。
コパカバーナの街に戻る帰途では、インカ時代の遺跡に立ち寄る。ただ小さな石造りの建物だけが残っているのだが、それは何千年も昔から青くたたずむこの湖になぜか似合っている光景だと感じる。
日はもう高く上がった。正午。真上からの陽光が湖面に降り注ぐ。太陽の角度が変わるとともに、湖面の色も徐々に変わってくる。青が濃さを増してくる。朝方の明るい青から、浅黒い青へ。だが、その鮮やかさは変わらず生き続ける。
近くの深く透明な緑色の水。表層の透明さを見ると、湖底まで見透かせそうな気がしてくる。だが、見透かそうと目を凝らせば凝らすほど深い緑がそれをさえぎる。
空は、水平線近くは白っぽい水色、空が高くなるにつれて青が濃さを増す。
青の世界。
16世紀にこの地にやって来た侵略者・スペイン人が、この美しい湖の湖畔を聖地にしようとした気持ちがここに来ると理解できる。
ボートの屋根でビデオを回しながら、ふと考えた。ここでもしこのビデオカメラを湖に落としたら、何千年も先まで、深さ200m以上のティティカカ湖の深淵に人知れず沈んだままになるのだろうか。ラパスで撮影した数々の映像は、二度と再生されないまま。DVテープは水の中で錆びていく。そしてビデオカメラも。それとも、未来の人間がひょんな事から湖底から偶然引き上げるのだろうか。
はるか昔から、この孤高の高地に存在し続けている青い湖。そしてこれからも。そんな悠久の時間の流れを考えながらこの青い光景を眺めていると、この青い湖が永久に変わらない永遠の存在なのではないかという不思議な感覚に捉われる。何千年、何万年も後、この湖は相変わらず深い青を湛えてこの南米の高地にたたずんでいるのではないか、という確信めいた予感を感じるのである。
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