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インド旅行記
2003年1月・記
第3部 世界一美しい墓 タージ・マハル

タージ・マハル、そして帰路
DAY6(2003/1/4)


シャンティ・ロッジ屋上から見たタージ・マハル

タージ・マハル

曇天に加え、一部改装工事中だったのも悔やまれる。

フマユーン廟

正面⇔斜め

アーグラー・カント駅に着いたのは1月3日の夕方。チェックインしたシャンティ・ロッジの屋上からタージ・マハルが見える。重く沈んだ灰色の空に真っ白なタージマハルが浮かぶ。天気は悪い。そして残念なことに今は夜のライトアップは行っていないとのこと。
このシャンティ・ロッジには数人の日本人観光客が泊まっているようだ。屋上のレストランで日本人と会ったので、ひとしきりお互いの旅のことを話す。
夕食はここでマトン・ビルヤーニー、40ルピー。ビルヤーニーとは、要はチャーハンで、ちょっとスパイシー。やっぱりカレーのほうが味、コストパフォーマンスともにいい。

夜になってホテル周辺を歩く。露店でオレンジを1個買う。ビタミン補給、5ルピー(12円)。


翌2003年1月4日。夜明け前に起き、まだ暗い中をタージマハルへ向かって歩く。朝7時前。だがもう人々はうごめいている。暗い道をざわざわした声が聞こえる。
「ナマステー。」
「ナマステー。」
7時過ぎに空は白み、タージ・マハル入場。今日も天気は悪い。空は真っ白。残念ながら絵葉書のような写真は撮れそうにない。サンフランシスコでもそうだったなぁ。天気と日程には勝てないから仕方ない。

さて、タージ・マハルは、ムガール帝国時代、つまりイスラムの時代、第5代皇帝シャー・ジャハーン(在位1628〜1658)の妃ムムターズ・マハルの墓である。ここは宮殿ではなく、墓なのだ。皇帝は、1631年の妃の死を悼み、膨大な金と22年の歳月を費やして1653年にこの世界一美しい墓を完成させた。確かに美しい。非の打ちどころのない対称性と白大理石一色に統一されたカラーリング。
だが、それと同時に、ここは墓であり、モスクではない。よって民衆からはとても遠い存在、何か手垢のついていない硬質さ、人間を寄せつけない孤高の雰囲気を感じる。ここは一般大衆がその存在に引き付けられてくる場所ではない。人間臭がしない、というか。この人間社会との孤絶感がこのタージ・マハルの一つの特徴のような気がした。

アーグラーの街は静かだ。デリーやヴァラナシの混沌と騒然と醜悪が感じられない。声をかけてくる人間が少ない。静かな一地方都市の趣だ。おそらく世界的な観光地のはずだが、そういう場所で感じられる”すれ”があまり感じられない。インドのもう一つの醍醐味は地方なのだろう。地方に行ったときの人々の素朴さ、暖かさは、だいたいどの国でもそうである。日本でも同じ。東京や大阪とは別世界が地方の片田舎に広がっているように、ここインドでもデリーやヴァラナシとはまた別ののんびりさ、おおらかさ、純朴さが地方には展開しているに違いない。デリーやヴァラナシだけを見て、人口10億、日本の10倍近い面積のインドの印象を決めるにはあまりに早急すぎるだろう。次は南部だな。インド南部はやはりまた全く違う世界のようだ。

さて、タージ・マハルを見終わった私は、アーグラー・カント駅から再びあわただしく列車に乗った。朝9:30発のところが、帰りも1時間遅れで出発、だが途中列車はがんばって遅れを挽回し、デリー到着は20分遅れの13:30。所要3時間。
三度戻ったデリーではフマユーン廟を見学。これまたフマユーン皇帝の墓所であり、1565年建設。後に建てられたタージ・マハルに影響を与えたという。なるほど色こそ違え、寸分なき左右対称といい、入り口から建物までの長く真っ直ぐな回廊といい、様式はタージ・マハルそっくりである。ここにはフマユーンの遺体が安置されている。
アーグラーでは曇っていたが、デリーは晴れている。ここはまたとても静かだ。緑多い庭園の中にあり、デリーの喧騒から完全に隔離されている。鳥の声が遠く近く聞こえ、無数のリスが走り回り、野良犬が死んだように昼寝をしている。乞食犬か。
フマユーン廟では日本人バックパッカーに会ったので、しばらくお互いのインド旅の話をする。

そしてついにインドともお別れ。インディラ・ガンディー国際空港までタクシー。250ルピーと決まっているらしい。誰と交渉しても値切れなかった。ちなみに国内線空港までは200ルピー。
空港の土産物屋でアッサムティーとダージリンティーを買う。それぞれ120ルピー。空港だけに高い。

全くあわただしい旅だった。この短期間ではインドの本質は見えてこないが、表層は見えた。私が今までに訪れた国の中では文句なしに一番貧しい国だ。飯が50円で腹いっぱい食えるのはなかなかない。東南アジアでも普通1ドルはする。
続きは、エピローグで。

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